警察もとい公安警察です・５【名探偵コナン】

２５ ページ11

no side




ベルモットと買い物をした翌日。
駿東は「初仕事」の呼び出しを受けていた。




「来たか。」


『…………用件は？』


「ﾁｯ……相変わらず生意気なガキだ。」




深夜０時を回った頃。
駿東はジンと会った廃倉庫に到着する。

ちなみに服装は先日ベルモットが選んだ物で、
シンプルだが高級そう(実際に高級)な黒スーツだ。

太腿にはこれまた高級そう(略)な拳銃ホルスター。
中は空である。



"初任務"は潜入捜査をするうえで、
何としてでも成功させなければならない。

そしてこんな早さで"初任務"を回されるのは、
公安も、駿東も思っていなかった予想外の事態。




「取引の監視だ。」


『……監視は、何をするの？』


「武器の横流し、横領、そういうことが無いか見張れ。
"万が一"そんな事をする奴がいたら容赦なく殺せ。
場所は呼んだ時に伝えた。」


『……分かった。』


「これが今回の取引人の顔だ。今覚えろ。」


『……ん、覚えた。』




ジンは掲げていた顔写真をしまい、
懐から白い布の包みを取り出して駿東へ差し出す。




「コードネームが無いお前の身分証代わりだ。
使い方は分かるか？」


『……いや、分からないわよ。』




馬鹿なの？と言いたげな顔でジンを見る駿東。
ジンの眉間にシワが寄る。




「ﾁｯ……面倒くせぇガキだな。それくらい調べておけ。」




布を取り払うと中からは案の定、拳銃が出てきた。
ジンはそれを左手に持ち直すと親指で撃鉄を起こし、
駿東の足元へ撃ち込んだ。




『……』


「分かったらさっさと行け。」


『……雑ね。』


「あ？」


『何でもない。』




ペッ、と渡された拳銃をホルスターに仕舞うと
駿東は無表情で踵を返し倉庫を出て行く。




「兄貴……アイツに監視が務まりやすかね。」


「使えなきゃ勝手に消える。
今回の取引には間違いなく事が起きるからな。」


「つ、伝えなかったんですかい！？
それは元一般人には酷なんじゃ……」


「仮にも警察に保護された経歴のあるガキだ。
多少、泳がせてみるのも面白ェだろう。」


「な、なるほど……」




意地悪く笑うジンにウォッカは冷や汗を垂らして頷く。




「あのガキの監視は"ピスコ"が引き受けた。
俺達は報告を待つだけだ。」


「分かりやした！」




クルリと踵を返すジンを追うウォッカ。
黒い服の２人はあっという間に闇に溶け込んだ。

・→←２４．５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す