過去編・壱 ページ18
貴女side
辺りの妖から目を盗み
神宝山を駆け下りる
貴女『ここらで良かろう』
人間がいないことを確認し
自分も人間に化ける
元々キツネだから容易いことよ
女性「あら、お嬢ちゃん何してるの?」
貴女『今からお使いに行く』
ちょこちょこ歩き回っていると
おばさんが話しかけてきた
女性「それは偉いわね
飴、あげようか。はいどうぞ」
貴女『…ありがとう』
手を差し出せば
そこにコロリと転がる飴玉
見たことはあったが
まだ食べたことは無い
女性「気を付けてね」
貴女『分かった』
意を決して飴玉を口に放り込む
ほんのり甘くて美味しい物だった
街中を歩くわけにはいかない…
この辺りにある丘にいよう
貴女『…』
切り株に腰掛け丘の下を見ていれば
石を投げられている少年がいた
少年「ッ…!」
「ウソツキ!ウソツキ!」
「ウソばっか言って楽しいか!?」
なんとも哀れな
子供のくせにそんな真似をするのか
仕方が無い
たまには人助けも良かろう
貴女『おい』
「「!!」」
少年「……」
貴女『寄って集って何をするか。
お前らには相手をいたわる気持ちは無いのか』
「だっ、だってコイツはウソツキで…」
貴女『ウソツキならば石を投げて良いのか?』
「っ…」
顔を歪めて走り去る悪童子
貴女『大丈夫か少年』
少年「…」
貴女『私はA。少年…名は?』
夏目「夏目……貴志」
貴女『貴志か。良い名だな』
夏目「ありがとう…」
よく見ればこの子は傷だらけだ
貴女『よし夏目。彼処に座れ』
夏目「!?」
グイッと手を引き、切り株に座らせる
貴女『…医者の卵の私が治療してやる』
夏目「医者…」
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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年10月28日 21時