【第五人格】無神論者の巫女

第十三話 ページ15

※ナワーブ視点


Aが口寄せを使った。
ハンターの位置情報が知らされたお陰で、見つかる前に身を隠す事が出来た。

＿恩に着るぜ、A。


それにしても新人の初陣に新マップとは一体どういうつもりなのだろう。

基本的に個人部屋以外での会話は領主に筒抜けだ。
恐らく今日のジョゼフとAのやり取りも見ていたはず。

無論、荘園の領主が面白い事好きだというのは身をもって知っている。
しかし今回は些かやりすぎでは無いか。


｢くそっ…頼むぞ…｣

このゲームが切っ掛けで万が一にも心を閉ざすような事が無いように、自分がしっかりと守ってやらねばならないのだ。


『うっ』

少し離れた所から聞こえる呻き声。
あの声はエミリーだろう。
助けに行くべきか迷ったが、自分より早くウィラが駆けつけたようだ。彼女なら安心してチェイスを任せられる。エミリーは自己回復が出来るため治療も必要ない。

｢よし、あともうちょい…｣

シャッター音が聞こえ、写真世界が開かれる。
今解読を終えたら居場所バレは確実、ウィラが既に撒いていたら真っ直ぐにこちらへ向かってくるだろう。


＿それでいい。

Aのところにさえ行かなければ良いのだ。


解読が終わり、急いでその場から離れる。
別の解読機に辿り着いた頃には、写真世界の自分は椅子に座らされていた。

『手をかして、早く！』

メッセージを飛ばす。
写真世界が閉じる前に間に合うだろうか。


すると遠くから小さな足音が聞こえてきた。

｢ナワーブ！どうしたの｣

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