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茶色いエプロンをつけて髪をくくり
店頭へと繋がるドアを開けると
マスク越しでも鼻をくすぐる濃い花の香りに
包まれて少しだけ咳き込む
「おつかれさまです」
「Aちゃん、おつかれさま！
今日お客さん少ないから1人で大丈夫だと思うけど
大変そうだったら連絡して？ヘルプに来るわね」
「ありがとうございます。おつかれさまでした」
店長のサナエさんが帰り1人で店内を見回す
裏道に入った隠れ家のような花屋さん
なんとなく、で生きてきた私だけど
お花だけは昔から好きで
絶対花屋でバイトしようって決めていた
「あ、綺麗に咲いたね」
ここしばらく成長を見守っていた
アガパンサスに触れ、呟く
アガパンサスを見ながら
なぜか脳裏によぎるのは宮近さんの笑顔で
「…いやいや、ないない」
というより、あったところでというのが正解だろうか
「すいません
お見舞いにお花を持っていきたいんですけど…」
心地よいベル音と共にドアが開き
お客さんに声をかけられる
「かしこまりました！
ご予算はどれくらいにいたしますか？」
お客さんと話しながら
あれこれ花の提案をしている間も
��テレビとか雑誌とかで見たらたまに思い出してね��
頭のどこかであの顔が忘れられなかった
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作者名：ぷらむ
| 作成日時：2021年3月15日 23時
