花香る場所で訪れるもの (ページ38)

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「着いた」

そう言って宮近さんが車を止めたのは

あの日とはまた別の公園

「あ、ここって…」

ここって確か、季節ごとにいろんな花が見れる
公園だってインスタで見たことがある

「来たことあった？」

帽子を被り直しながら不安そうに宮近さんが振り返る

「いや！行ってみたいなって思ってた所です」

「ふふ、よかった。
ごめん一応これかぶってもらっていい？」

そう言って渡されたバケットハットを私も深く被る

「じゃあ、行こうか。平日だから人少ないね」

ドアを開けられ車を出る

「段差、気をつけてね」

「あ、はい…ありがとうございます」

差し出された手の上にそっと自分の手を重ねる

こんな、まるでデートのような始まり

私はどうしたらいいのか答えがわからない

「ね、これなんていう花なの？」

困惑する私の気持ちを知る由もなく

宮近さんは楽しそうに公園を歩いていた

そんな宮近さんを見ていたら
自分の悩みがどうでも良くなり吹き出す

「え、何？俺おかしいこと言った？」

「いや、なんでもありません。すごく楽しいなって。連れてきてくれてありがとうございます」

にこりと笑うと、帽子の中で宮近さんも笑った