花香る場所で訪れるもの (ページ36)

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宮近さんが帰った後、あっという間に時間は過ぎて

気付けばバイトの時間も終わり裏口から外に出る

表に出て駅へと歩こうとした瞬間

背後からクラクションを鳴らされ振り返る

「え」

目の前に映る光景に思わず声を上げる

「…驚かせてごめん。
サプライズ、とかいうキャラでもないんだけど」

そう言って渡されたのは

さっき私が作ったポピーのミニブーケ

「誕生日、だったよね昨日。
今日、朝の稽古だけだったから。ごめんね1日遅れ」

恥ずかしそうに渡されるブーケを恐る恐る受け取る

「ありがとうございます
でもなんで誕生日知ってるんですか？」

確かに昨日は私の22歳の誕生日だった

昨日は友達と過ごして、

でもそもそも誕生日の話をした記憶もないのに。

「学生証。落とした時に見えたんだ」

カフェで落とした学生証を渡された時の光景が
フラッシュバックして妙に納得する

「なるほど…でもなんで、」

なんで私に、なんて聞いたところで

答えに期待するだけ無駄だろうか

「Aちゃんこのあと時間は？」

「ありますけど…」

そう答えると
花束を待つ手首を掴まれ軽く引き寄せられる

「よかった。とりあえず車乗って。」

言われるがままに車に乗ると、

あの日と同じようにミラー越しに目が合ったあと
車が走り出した