花香る場所で訪れるもの (ページ4)

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「あ、いやいや！全然邪魔とかではなくて」

ホットチョコレートを買って席に戻ると、

さっきまでいなかった男性が

じっとテーブルを見つめていた

やっぱり席占領したままなのまずかったかな

思い切って謝って片付けるも、

男性は必死に私を止める

「…へ？違うんですか？」

「その…友達、が同じ資格とってて
珍しいので思わず見てしまいました…すみません」

ウイルスが流行っているご時世だからマスクをして

帽子もかぶっているから顔はよく見えないけれど、

ぺこりと頭を下げ申し訳なさそうに男性が話す

「それに俺、奥の方に座ろうと思ってたので」

「…あの！もしよかったら、
すぐそこの席使ってください
今の時間、ひだまりが差してきて気持ちいいので」

じゃあ、と足早に去ろうとする男性を

なんでか分からないけど思わず引き留める

「迷惑じゃなかったら、なんですけど……」

奥の方に行きたいという人を

無理矢理連れ出すのも申し訳ない、

そんな気持ちでつい言葉尻が小さくなった

しばらく考えるように黙り込んでいた男性の目元が

優しく細められるのが見え、笑っているのが分かった

「じゃあ、お言葉に甘えて。
僕、ここ初めて来たんです、色々教えてください」

椅子を引きながら座り、真っ直ぐに前を見据える

初めて合ったその目は吸い込まれそうな不思議な瞳で

少しだけ、胸の高鳴りを感じた