花香る場所で訪れるもの (ページ30)

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宮近side

「…はー」

「どしたの？元気ない？」

朝でもないのに、と元太が笑いながら隣に座る

＂あの、…なんでもないです、おやすみなさい＂

昨日、車から降りる時に

何かを言いかけていたのには気付かないふりをした

Aちゃんを困らせたくないから

好きだと伝えるのはもっと先にしようって決めたのに

綺麗な夜景に照らされるAちゃんの

横顔を見ていたら気付いたらあんなことしてた

もっと困らせることになるって気付いたのは

家に帰ってふと我に帰ってから

それからスマホを見ても既読はつくことはなく、

翌日になった今日も既読はついていなくて

楽屋で小さくため息をつく始末だ

「焦って結局困らせちゃったかも」

「この前電話してた子？珍しくね？何したの」

スマホを触りながら聞く元太に昨日の話をする

「それはさすがに焦りすぎ」

あまりにもストレートすぎる言葉に項垂れる

近くで聞いていたしめまで

＂ちゃかちゃんそれはやらかしだね～＂と言ったのが

何よりのトドメだった