花香る場所で訪れるもの (ページ25)

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「このへん、かな？」

LINEで送られてきた位置情報を見ながら足を止める

結局、何を着ていけばいいかわからなくて
シフォン生地のブラウスとスキニーにした

別にデートなわけでもないし、と
誰も聞いてないのに自分に言い聞かせる

宮近海斗うしろ

心地よい通知音と共に後ろを振り返ると、

マスクとメガネをしている男性が
運転席で軽く手をあげるのが目に入った

車に近づくと運転席から宮近さんが降りてくる

「おつかれさま。ごめんね急に」

「いえいえ！宮近さんこそお仕事お疲れ様です」

「マスクしてるから大丈夫だと思うけど…
ごめんね、一応こっちで」

後部座席のドアを開けながら
宮近さんが乗るように促す

「おじゃま、します」

恐る恐る車に乗り込むと
いつも隣に立つときに感じる宮近さんの匂いがした

…嗅いでるみたいで気持ち悪いかな

マスクの中で自分に苦笑していると
宮近さんも運転席へと乗り込んだ

「冷房効きすぎてない？寒かったら言ってね」

「大丈夫です！暑かったので良い感じ」

「そっか、それは良かった(笑)」

ミラー越しに目が合い微笑まれる

「よし、じゃあ出発～」

宮近さんの一言と共に車が走り出した