花香る場所で訪れるもの (ページ24)

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8月になり

宮近さんは配信ライブの予定が詰まっているとかで

全く会える日もなく

かといって
自分から連絡するのも違うかなと音沙汰のない状況に

この間感じた宮近さんへの気持ちは勘違いだったん
じゃないかとすら思い始めていた

「…むしろそっちが都合が良かったり」

＂卒業論文の研究テーマについて＂と
書かれた紙を見つめながら1人呟く

年明けに提出なのにもうテーマ提出なんて
全然ピンとこないのに。

ゼミの友達とのLINEを返しつつ

資料を見返していると画面が着信に変わる

「え、」

噂をすれば、とはこのことだろうか

正確に言えば、
噂をしていたというより考えていたのだけれど。

「も、もしもし」

「Aちゃん？いま大丈夫だった？」

「大丈夫ですよ！どう、しました？」

「今日の夜、時間あったりする？」

今日の夜、はバイトも何もなかったはず

「ありますけど…？」

スケジュールを思い返しながら返事をした

「よかった、ちょっと付き合って欲しいんだ」

そう言ってしばらく話をした後、

LINEで位置情報が送られてくる

宮近海斗19

突然のお誘いに胸が高まりながら

クローゼットを開けるあたり、

どうやらこの気持ちは勘違いでも何でもないらしい