花香る場所で訪れるもの (ページ16)

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「駅までどのくらい？暗くない？」

「ふふ、大丈夫です(笑)ありがとうございます」

ここまで心配してくれる人、

なかなかいないから思わず笑い声が漏れる

「…笑わないで、恥ずかしいじゃん
妹いるからさ。つい、ね」

やっぱり、宮近さんにとって私は

妹みたいな存在に見えるよなあ、と少しだけ俯く

「なるほど」

「うん。…あ、またブックカフェ行こうよ
今度はちゃんと本も読みたい」

「この間ずっと喋ってましたもんね(笑)
私は時間合わせられると思うんですけど、その…」

＂宮近さんの職業上、大丈夫なんですか？＂

その言葉を出すのが少しだけ、怖い

住む世界が違うことだったり、

私の存在が邪魔にならないかな、とか

思い知りたくなかったから

「すいません、なんでもないです」

ちょうど良いのか悪いのか、

駅の明かりが見えてきたところで

電話を切ろうとすると

「Aちゃん」

はっきりと名前を呼ぶその声に

思わずその場に立ち止まった