花香る場所で訪れるもの (ページ14)

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「はい、お待たせしました」

「ありがとう。めちゃくちゃ綺麗だ」

「喜んでくださるといいですね！」

花束を渡すと新鮮なのかクルクルと回しながら
花束を見つめる宮近さんが面白くて思わず頬が緩む

「ふふ、そんなに珍しいですか？」

「え？…ごめん変だよね(笑)」

「いえ、そんなに見てくれるの嬉しいです(笑)
選びがいがありました。」

「本当にありがとう、助かりました
…あの、もしよかったらなんだけど」

そう言って差し出されたスマホのQRコードに

思わず身が固まる

「あの日、もしまた会えたら。
…そのあとは偶然に頼らず会えるようになれたらなーって考えたんだよね、なんて…ダメ、かな？」

花の間から覗く上目遣いな視線に

「ダメじゃない、です」

頷かない以外の選択肢はない

「よかった、お母さんがさ、おうちにお花があると
明るくなるって言ってて。色々聞いてもいい？」

「もちろんです、いつでも聞いてください」

「ありがとう、またあのカフェも行きます」

「はい、また」

私と遠い世界に生きているんだと思っていた人と

＂また＂があるなんて。

作った花束を大切そうに抱え宮近さんが出ていく

もしいつか、大切な人に渡す花束を相談されたら。

宮近さんの大切な人、ってすごく素敵なんだろうけど

少しだけ胸が痛むのはなんでだろうか

スマホに映し出された
＂宮近海斗＂の文字をぼーっと眺めながら

その理由を探っていた