花香る場所で訪れるもの (ページ13)

今日:15 hit、昨日:22 hit、合計:204,313 hit

13 ページ13

・

「どんなものがいい、とかイメージありますか？」

初めて会った日のように
店内をゆっくりと歩きながら尋ねると
うーん、と宮近さんが頭を悩ませる

「ほんとにイメージがわかなくて。
ごめんね、任せるみたいになるんだけど」

「全然！お子さんが産まれたお祝いですよね…」

だとしたら、すぐに思い浮かぶものがあり
きょろきょろと見渡す

「こちら、いかがですか？」

差し出したものに不思議そうに宮近さんが触れる

「なんか見たことある。なんていう名前？」

「カスミソウです。
白くてちっちゃいの可愛いですよね」

花はやっぱり好きだから
つい前のめりになり慌てて身を引っ込める

「…うん、可愛い」

そう言いながら優しく微笑む姿に

私が可愛いと言われたわけでもないのに

顔の温度が上がるのを感じた

「あ…えと、カスミソウの英名って
ベイビーズブレス…赤ちゃんの吐息って言われてて
赤ちゃんの誕生を祝うプレゼントとしてぴったりだと
言われてるんです」

「そうなんだ、詳しいんだね」

「はい、好きなんです…お花が！」

慌てて付け足すと
分かってるよとけらけらと宮近さんが笑う

「じゃあこのカスミソウをメインで、
せっかく俺があげるし赤いお花でまとめてください」

「かしこまりました！赤…メンバーカラーですか？」

「うん、調べてくれたの？」

「ちょっとだけ…また会えると思ってなかったので」

「俺も。
…だからなんでか分かんないけどすごく嬉しい」

メガネ越しでも分かる真っ直ぐな視線から

思わず逃げたくなり花に目を移した