40.もっと見て？ ページ42
え、と口を開く間もなく引っ張られ、連れてこられたのは店の裏口。
ゆっくりと離された自分の手は震えていて、慌ててもう片方の手で押さえつけた。
フジ「…Aちゃん」
見上げたその表情はどこか冷たくて、でも悲しそう。
『…っ』
残ってしまったキヨさんの言葉。
＿＿綺麗になった。
それを聞いたあの人は、嬉しそうに微笑んだ。
確かに綺麗な人だった。私とはまるで違う、もっともっと上の世界の人。
フジ「Aちゃんは今なに考えてる？」
『…』
フジ「………キヨのこと？」
『…』
フジ「…Aちゃん」
何も答えられないのは、怖くて口を開けないから。
いま開いてしまったら、気持ちが溢れてしまいそうで、言ってはいけないことを言ってしまいそうで。
フジ「なんでそんなに泣きそうなの？」
『っ…』
フジ「……ねぇ」
『痛いんです、胸が、苦しくて、なんか、こう、握り潰される、感じで』
初めてだからなにもわからない。
この感情が意味することも、しらない。
フジ「…すきなの？」
『…ぇ』
フジ「Aちゃん、キヨのこと好きなんだね」
違う。違う。好きなんかじゃない。
好きだったらこんなに苦しくならないでしょ？
好きって、もっと嬉しくて楽しくて、幸せでしょ？
今の私は、キヨさんのことを考えたら苦しい。
『…ち、がう』
フジ「…違うの？」
『…違＿＿』
フジ「俺はAちゃんが好きだよ」
『…！？』
フジさんの瞳が揺れてる。
はっきり、その唇がすき、と動いた。
私を、すき…？？
『ふ、フジさん、』
フジ「だから、いまAちゃんがキヨのことで悲しんでるの見て凄く苦しい。好きだから。」
『…』
フジ「俺のこと、もっと見て？」
遠慮がちに握られた手は、もう解けない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 540人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もも(プロフ) - もちもちもちこさん» お待たせしてしまい申し訳ありませんでした！やっと続編出します！ (2018年2月24日 19時) (
レス) id: 6a5ecf0a40 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ちーちゃんさん» 遅くなってしまってごめんなさい！！やっと続編に行きます(;_;) (2018年2月24日 19時) (レス) id: 6a5ecf0a40 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちもちこ - 続編ないんですか？続きがとても楽しみです！ (2017年10月31日 16時) (レス) id: 3032de0fc2 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - ももさん}いやいや私のこの頭が理解力が低いもんで。すいません。(._.)怒っときます。(._.)ゞﾍﾟｼ ﾒ! はいすいません。なかなか見る暇がなくて久しぶりに来たらいいとこまでいってるじゃないですかぁ~！引き続き頑張って下さいね！応援してます！( *´艸｀) (2017年9月22日 22時) (レス) id: b018cf85ec (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - reiponnさん» とうとうキスしてしまいました…長かったですここまでくるのに…(笑) 恋の力って凄いんですね〜(人事) (2017年8月30日 12時) (レス) id: 6a5ecf0a40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もも | 作成日時：2017年7月2日 8時
