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「海人に電話した。じゃあ行こっか」
周りを見渡しながら人がいない方を確認し
宮近さんが歩き出す
あとに続こうとするけど、思ったよりさっきのことが
怖かったのか足に力が入らず俯いていた
「…Aちゃん?」
そんな私の様子を不思議に思った宮近さんが
私の前まで戻ってきて顔を覗き込む
「すいません、ちょっと怖くて」
「…そうだよね、もうちょっと休もっか」
そう言って迷ったような素振りをしたあと、
そっと宮近さんが私の頭に手を置く
「…大丈夫だよ、もう大丈夫」
頭に置かれた手の感触に
謎の心のざわつきに襲われ目を見開く
勢いよく顔を上げると、
すぐに宮近さんが目を逸らした
「あの、」
「これ。よかったら追加してて」
私の言葉を遮るようにスマホに映された
QRコードを目の前に差し出す
「え?」
「またこういうことあったらさ。
海人だって連絡つかないことあるかもしれないし
その時は…俺のこと頼ってくれて構わないから」
でも…と、迷っていると見兼ねた宮近さんが
私のスマホを取り出しQRコードを読み込んだ
「大切なメンバーの大切な人なんだから、ね?」
夜道でよく見えないけど、
心なしか宮近さんの顔が
少しだけ、寂しそうな気がした
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作者名:ぷらむ | 作成日時:2021年2月20日 22時