夢の中の君は。 (ページ12)

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「Aー！」

「なぎちゃん！おはよ～」

改札口を出てすぐ後ろから肩を叩かれ振り返る

「A、いつもバスじゃないっけ？」

鋭い指摘に思わず目を泳がせる

自分の家からだと大学に行くにはバスだけど
海人の家からだと電車の方が行きやすいんだよな

「あー…バイト先の友達の家泊まってたの」

本当のことは言えないから、
そもそも彼氏がいないことにしているし
仕方のない嘘だと分かっていながらも心の中で
ごめん、と手を合わせる

「そうなんだ。
そういえばね今日また坂本先輩とご飯行くの！」

「いいじゃん！あの時の飲み会からもう何回目？」

「3回目！さすがにちょっと期待しちゃうよね」

あの時、
なぎちゃんと坂本さんが偶然再会してなかったら
私と海人も出会うことはなかったわけで。

だからこそ、この2人にも幸せになってほしいなんて

「また4人で飲みたいけど、
さすがにそれは難しいよね～」

「そう、だね」

「4人のグループあるけどさ、
さすがに連絡先追加とかできないし(笑)」

そういえばあの時も向こうから追加されて連絡きたんだっけ、と半年前を思い返す

「今だから言うけど、Aと中村さん
結構仲良さそうだなって思ってたよ」

芸能人とあんな仲良く話せるのすごすぎー！と笑う
なぎちゃんの言葉に思わずぽかんとする

「え、A？何？」

「あ、いや…なんでもない」

いつか、いつになるかは分からないけど

話せる日がくるといいな

立場上仕方のないことだし、承知の上での選択に

久しぶりにすこしだけ胸が苦しくなった