夢の中の君は。 (ページ2)

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「…A？起きたの？」

隣から聞こえる眠そうな声と、
すぐに絡みつく腕にハッと我に帰る

「ごめん、起こした？」

「んーん。どうせもうすぐ起きる時間でしょ」

すりすりと首筋に顔を埋める恋人はまるで猫のよう

最近伸びてきているキャラメル色の
ふわふわとした髪を撫でる

首筋に当たる髪の毛がくすぐったくて身を捩ると
逃がさない、と言わんばかりに絡み付いた腕に力が入った

「ちょっと！くすぐったいよ」

「いいじゃん。A、いい匂いする」

「アラーム前に起きるの、損した気分にならない？」

「なる。なるから俺はまだ寝てる」

寝起きで頭が回っていなさそうな言葉に
思わず笑いが込み上げ身を震わせる

「せっかくだからいつもと違う朝ごはん作っちゃお
ほら、離れて？」

「んえ～やだ～～」

ぐいぐいと引き離すと、
されるがままに枕に顔を埋める

「朝ごはん、できたら呼びにくるから起きてね？」

「わかった～…A、」

寝室を出る間際、名前を呼ばれ振り返る

「おはよ」

「おはよう、海人。」

15年前から忘れられない、

夢でしか会えないカイトくんの顔は

もうずっと、思い出せないままだ