夢の中の君は。 (ページ36)

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片付けながら無意識に頭に浮かぶのは
さっきのキッチンでのやりとりで。

なんで、宮近さんに話すの躊躇しちゃったんだろう

付き合ってる人いるのに、って思われるのが
怖かったから？

それにあの、名前を呼ばれた時の安心感

何もかもが感じたことのない感覚で
心の中がずっとざわついている

もしかして、なんて考えをよぎらせては
そんな都合のいいことがあるわけないとすぐかき消す

それに、もう忘れようと決めたのに。

最近、あの夢だって見ていないから

多分、自分の中でさほど
大事な存在じゃなくなってきていて、

それ以上に海人の存在が大きくなってきているのに。

「なんか疲れた」

海人がお風呂から上がってきたら
すぐに入ってアイス食べて寝てしまおう

テーブルの上をきれいにしてソファーに座ろうとしたのと同時に海人がリビングに戻ってきた

「どうぞ～…A、眠そうやね」

「うん、ちょっと眠い～アイス先食べてていいよ」

「やだ、一緒に食べるからそれまでゲームする」

スキンケアをしながら海人がゲームを起動させていた

「分かった、急いで入ってくるね」

気持ちや思考回路をリセットするかのように
すこし熱めのシャワーを頭から浴びる

「しっかりしなきゃ、」

何に対してかは分からない、分かりたくない独り言は

シャワーの後にかき消されそのまま流れていった