夢の中の君は。【3】 (ページ4)

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「Aちゃん、待って！」

背中に元太くんの声を感じながら足早に出口へと進む

「待てって！」

ごめん、元太くんと心の中で唱えるも
男性の脚にかなうはずもなく
気配はどんどん近づいていた

「止まってくれなきゃ海人に連絡する！
…って言ったら？」

元太くんの言葉に思わず立ち止まり振り返る

「…ずるいよ、そんなの」

「ごめん、そうでもしなきゃ止まってくれないでしょ」

ここの店員さんと知り合いなのか、
店員さんと元太くんが目配せをしたかと思えば
出口に近い個室に通され座らされる

メガネとマスクを外しニコニコと笑うその顔は

当たり前だけど1年前と変わらない元太くんだ

「久しぶり、Aちゃん」

「…お久しぶり、です」

俺、ここに1人できてて帰ろうとしたら
びっくりしちゃった、と元太くんは笑うけど
居心地が悪すぎて上手く笑えずに俯く

「敬語なんてやめてよ！…せめて俺にはさ」

どこまで知ってるのから分からないけど、

＂海人に連絡するよ＂と言っていたところ見ると
そのことしか知らないのかな、とちらりと顔を見る

「…ごめん、元太くん。久しぶりだね」

「やっとこっち見た。安心して、海人には言わない」

「だから教えて、何があったの？」