その後。 ページ21
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「ね、Aちゃん」
お互いのオフが被った休日のお昼
ソファーに座っていると、
海斗くんが寝室から出てきて近寄ってくる
「どうしたの?」
「これ見つけた、一緒見よ」
そう言って差し出してきたのは
レンガ色の分厚い一冊の本
「これ、アルバム?」
「そう、昔の俺らの写真も多分ある」
勢いよく顔を上げるとにこにこと優しく笑う顔が
柔らかな木漏れ日に照らされていた
「ふふ、海斗くん結構そのままだね?」
「その割に気付いてませんでしたけどね?」
面白がるかのように海斗くんがツッコむ
「…夢に顔出てなかったの!」
少しだけ不貞腐れると、
すぐに海斗くんが顔を覗き込んだ
「ふは、ごめん」
ページをめくると、私の家にもあった写真や
2人で遊んでいる様子を撮られているものなど
私が全然覚えていない写真がたくさんある
「俺、こうやって後ろからついてくる
Aちゃんが可愛くて仕方なかったんだよね」
ストレートに紡がれる言葉に
顔がどんどん熱を帯び始める
「…まぁ、その気持ちを当時は伝える方法も
知らなかったんだけどさ」
ちらりと隣を見ると、
伏し目がちの当時を懐かしむかのような横顔に
思わずそっと手を伸ばし頬に触れた
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作者名:ぷらむ | 作成日時:2021年3月7日 21時