夢の中の君は。【3】 (ページ1)

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「…もう朝、」

ジリリリリと鳴り響く目覚まし時計の後で目を覚ます

ワンルームの白い天井にももう慣れた

重い身体でベッドから抜け出し
電気ケトルのスイッチを押す

カーテンを開け、冷蔵庫を開ける

ミニトマト、そろそろ食べ切らなきゃな

サラダとトーストにしよう

一人暮らしにはちょうどいいワンルーム。

＂幸せだった＂

無音の部屋に1人でいると

どうしても思い出してしまうから

振り切るようにテレビをつけると
朝の情報番組の音が耳に入る

時間的にじゃんけんのコーナーかなと思いながら
キッチンに向かおうとすると

「おはようございます！」

「「TravisJapanでーす！」」

テレビから流れたその声に、

思わず戻ってテレビを見つめる

真ん中には宮近さん、

隣には

暗めの色に髪を染めた海人が立って

全員が爽やかな笑みを浮かべていた

そういえば、
春には有名ドラマの続編の新キャストに抜擢されたと
ネットニュースで目にしたっけ

舞台の開催を告知する宮近さんをぼーっと眺める

結局、あのLINEには既読がつくことはなく
そのまま連絡先を消した

無意識に頬を濡らす涙に気付きゴシゴシと涙を拭い
テレビのチャンネルを変える

海人と別れて、

宮近さんへの気持ちに蓋をして

もうすぐ、1年が経とうとしている