今と未来、僕と君 11 (ページ25)

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額に手を当て目を伏せるA

今まで聞いたことがない誰かの声が

絶え間なく次々と頭の中に流れてきた

それも聞こえれば聞こえるほど頭どころか体まで酷く疲れていく

A｢一体何なの、これ…｣

額から手を離し

目をそっと開くと

U｢やっと終わった？流石にちょっと痛かったかな｣

A｢げっ……て、もしかして私今……｣

U｢そう、思いっきり僕の頬をビンタ｣

A｢ごめん！！本当にごめんつい…｣

U｢忘れてそうだから言うけどこれ体は良太郎なんだからそう簡単に叩いちゃダメだよ｣

A｢良太郎ごめん！！｣

U｢ちょっと良太郎だけなの？僕は？｣

良太郎の頬が真っ赤になっていた

あの時知らない声を振り払おうとした時

つい無意識に良太郎の頬をビンタしていたらしい

本当に悪気はなかったのだが

ハナにも負けない強い力を持つAのビンタだ

ウラタロスは平気でも良太郎の体は平気じゃない

A｢ごめん、そのまま乗っけてほんとごめん｣

U｢勘弁してよねAちゃん｣

A｢まぁ…良太郎ならきっとわかってくれる、多分…｣

U｢それは流石に無理だと思うけど？｣

何とかバイクに乗り

イマジンを追いかけるために発進した

中身はウラタロスな良太郎とA

イマジンのことを考えなくてはならないのに

Aはずっとあの声のことしか考えられずにいた

U｢これからスピードあげるよ、振り落とされないようにしっかり掴まって｣

A｢どこ触ってんのバカ！！！｣

U｢手を触っただけじゃん｣

A｢触り方に下心ありすぎなの！｣

本当に不本意だがバイクから振り落とされたら

怪我では済まない可能性がある

なんならウラタロスはモモタロスのことを言えないくらいエキセントリックな運転をする

本当に心の底から不本意だが掴まってないと命の保証ができない

A｢…………なんかあの時みたい｣

背中だけ見れば良太郎そのもの

そっと腕を回し背中に額をつけると

あの頃を思い出す

まだ桜井さんがいて、愛理が記憶を失う前の

なんてことのない普通の日常

A｢良太郎は覚えてないかもしれないけど｣

そんな当たり前が今はもうどこにも存在しない