_episode20 ページ23
_side.影山 さと
あの時、僕は夜を越すための拠点を探していて、あの家を見つけた。
外見も他と比べて綺麗で、雨風をしのげそうだと思った。
家の中に入って食料などを漁っていると、不意に玄関から物音がした。
とは言えとても小さい音で、他人より耳がいい僕じゃなければ気付けなかったと思う。
急いで物陰に隠れ、武器を構える。僕が選んだ武器はダガ―。
小柄な僕に相性がいいと思ってのことだ。
微かな足音を拾い、相手が一人であると分かった。
相手の呼吸音や歩調から、かなり強い相手だと分かる。なぜならひどく落ち着いていたから。
どうしよう。
そう考える間も相手はこちらに向かって歩いてきている。
はやく、何とかしないと。
頭をフル回転させて……
……ドン、と銃声が聞こえた。反射的にダガーを構える。
どうやらそれは幸運だったようで、弾をはじくことができた。
敵は思ったより近くにいたようで、リボルバーピストルを構えている。
しまった、相手は遠距離武器だ。
近接がメインのダガーに対して大きなアドバンテージを誇る武器、銃。
こんなことになるんだったら、自分も銃をとっておいたほうが良かったかもしれない、と少し後悔する。
ダガ―は投げることもできるらしいが、もちろんやったことがないので無理。
となると相手の懐に入り込むしかない。
僕は持ち前のスピードと瞬発力で相手に切りかかった。
手ごたえを感じた、と同時に腹に強い異物感を感じた。
それから数秒後、激しい痛みが僕の身体___特に腹部を襲った。
刺された。
そう理解するのにまた1秒程度かかり、ようやく相手のナイフの射程圏内から外れた。
と思うと、今度はリボルバーピストルを構えてくる。
何とか避けると、ちょうど弾切れになってしまったようだった。
しかし、今襲い掛かってもきっと勝てない。逃げるという選択をした。
窓ガラスを割り、家の庭へ飛び出す。
そのまま痕跡を残さないように、血が流れる傷口を抑えながら遠くへ逃げた。
さと「ちょっと、襲われただけ」
紫恩にそう返した。何か言おうとしていたが、
さと「ここは、そういう場所……だから、……はやく、慣れた方がいい。」
というと、何も言い返せないのか俯いて無言になってしまった。
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作者名:葉月/月のツッキー/陰鸚 x他3人 | 作者ホームページ:No.
作成日時:2022年6月9日 19時