_episode22 ページ25
_side.春峰 紫恩
あなたは私の喋り方、変だなって思わなかった?
……ああ、いいのよ、変だって思われるのは慣れてるから。
でも、もうこの喋り方は小さいころからの癖なの。
私が生まれた家庭は女の子を欲しがっていた。
でも、生まれたのは私。
つまり男の子だった。
両親はそれを受け入れられなかった。
どうしてそんなに女の子を欲しがったのか分からないけれど、とにかく両親は私のことを女の子として育てた。
かわいらしい服を着せて、言葉遣いや仕草も女の子みたいにさせて。
私はそれを受け入れるしかなかった。
まぁ、人間ってすぐ慣れる生き物だから、そのうち気にしなくなったけどね。
でもやっぱり、周りから見たら自分は異質だった。
幸い、事情を知っている人たちのおかげで自分が男だとはわかっていたけど、周りの……特に同年代の子からは腫物のような扱いを受けていたわ。
でも、みんなまだ子供だったから仕方ないのよ。
高校生くらいになるとそう言った差別は減っていったわ。
友達もできるようになった。
高校、大学を卒業して、就職もして、だんだん私は親の呪縛から逃れていった。
でも最近、親に借金を押し付けられちゃって。
その返済の為にこのゲームに参加したの。
紫恩「___ごめんなさい、つまらない話しちゃって」
微笑みながら、黙って話を聞いていた彼に謝罪をする。
これはお礼よ、と言ってポケットに入れていたパズルのピースを渡した。
なんだかわからない、といった顔で渡されたものを見つめるさとちゃん。
紫恩「それはミッション達成のためのものよ。あなたが眠っている間にミッションが出てね。それを持っていないとゲームオーバーになってしまうらしいわ」
さとちゃんは少し目を丸くしてから、「……ありがとう」と言った。
さと「でも、紫恩の分は……?」
紫恩「私の分はもう一つあるから大丈夫よ」
そう言ってもう一つピースを取り出し見せる。
さとちゃんは「よかった」と相変わらず無感情に言った。
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作者名:葉月/月のツッキー/陰鸚 x他3人 | 作者ホームページ:No.
作成日時:2022年6月9日 19時