Zoe (ページ46)

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会社に移動するまでの車の中。隣に座ったヘチャンくんはスマホを触ってて、わたしはマネージャーさんの運転に揺られながら窓の外を見つめてる。オッパたちも前の方に座って、寝たり音楽聴いたりお話したり。

HC「昨日寝れなかったの？さっきから眠そう」

「スマホ見てたら遅くなっちゃって…」

HC「ダメじゃん。俺の部屋きたらよかったのに」

「迷惑かなって」

HC「なわけないじゃん。え、何ほんとに具合悪い？」

大丈夫？ってわたしのおでこに手を当てるヘチャンくんのふわふわの綺麗な茶髪から、くりくりの丸い目が覗く。瞳のなかに映ったわたしまで見えるくらい近くて。

HC「テヨンイヒョンも心配してたよ」

「大丈夫なのに、心配かけてごめんなさい」

HC「俺は別にいいけどさ」

なんでも言ってね、ってわたしの手をいじりながら言うヘチャンくんに、昨日のビハインドの映像を思い出しちゃった。あのかわいいボブの子、ヘチャンくんに手を繋がれて、すごく可愛い顔をして笑ってた。

HC「そういや聞いた？ジェヒョニヒョン、ドラマの撮影でちゅーしたんだってよ」

「恋愛ものだったもんね」

HC「ちゅーって、Aが思ってるようなちゅーじゃないよ。もっと大人なすごいやつだよ」

MK「や〜へチャナ、A疲れてるんだから」

「だ、大丈夫だよ」

こそこそした声だったけど、前に座るマクオッパには聞こえてたみたいで、ヘチャンくんは怒られて拗ねてる。大丈夫なのは本当だけど、ヘチャンくんから今聞いたジェヒョンオッパの話に、夜中みたいに心臓の奥がぐわってした。

昨日からわたし、すごく変な気がする。今も、ジャニオッパにこの前会社の職員さんにインスタ褒められたんだ〜って笑うテヨンオッパの言葉に、胸がじくじくしてる。

なんていうんだろう、これ、自分のなかでもやもやしたなにかがぐるぐる渦巻いて、だれも悪くないのにだれとも話したくないような、わたしは一人でも平気だよって、強がっちゃうような。

素直になれない自分がほんとうに嫌で、そろそろ会社に着くっていうのに涙が出てきそう。

CL「…ナ、ヌナ」

「わ、チョンロくん、とチソンくん…」

JS「ヌナ、生きててよかった」

安心したように言うチソンくんがわたしの手を握る。どうやら練習おわり、一人で残ってたらいつの間にか寝ていたみたいで。昨日、ていうか今日の夜、ぜんぜん寝てないのを思い出した。