2-1. 猫の手も借りたい初対面 ページ11
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烏野高校に入学してから一ヶ月と半月ほどの時間が流れ。五月の下旬に差し掛かった、初夏の風の匂いのする晴れの日。
私は、授業中だと言うのにも関わらず、いつもの体育館裏で黒猫ちゃんと遊んでいた。
………いやだって、体育だし。バスケだし。突き指怖いし、??
黒猫ちゃんに出会ったあの日から、学校のある日はたこちゃんと二人で毎日顔を出していたからか、すっかり懐かれてしまった。
「ほんと、警戒心の欠片も無いよなぁ……お前」
“みゃーぁう”と不思議な鳴き声を出して私が持ってきた猫缶を勢いよく食べ始めた黒猫ちゃんに、落ち着け。の意も込めて頭を撫でてやると、
一度ぴたっと動きを止めた黒猫ちゃんは、私の方を一瞬見てからまた猫缶を食べ始めた。
………多分、こうやって黒猫ちゃんにご飯をあげてるの先生とかに見つかったらまずいんだけど、
四限目のはじめから五限始まる前までの約二時間以外はここに来てもいないことが多いから、恐らくこの子はこの辺りを回りながら生きているのだろう。
強く生きろ、子猫よ。
猫缶を食べ終わったのか、みゃ〜。と甘えたような声を出して私の腕に擦り寄ってくる黒猫ちゃんに、もう今日はおしまい。と伝えて顎下を撫でると、気持ちよさそうに目を細めてはごろごろと喉を鳴らした黒猫ちゃんは、
そのままいつものように花壇に腰掛けている私の膝上を独占しては、くぁ。と大きな欠伸をした黒猫ちゃんに、若干呆れまじりにため息を落として、膝上の温もりはそのままに、私も目を閉じた。
… … …
“みゃー”
「ん……、?あれ、私ほんとに寝てた…?」
おへそのあたりをポンポンと軽く叩かれる感覚に突然意識が浮上して、うっすらと目を開けてみれば、黒猫ちゃんが心配そうな眼でこちらを覗き込んでいた。
どうやらすっかり寝ていたらしく、お昼休憩に入ったのか遠くからガヤガヤと騒がしい声が聞こえてくる。
うるさいなぁ。なんて思いながらも、未だに膝の上にいる黒猫ちゃんを落とさないよう体制を整えると、私のすぐ隣に、人が座り込んでいるのに気がついた。
…………え??
「お、起きたか」
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モノクロ(プロフ) - えむおーいーさん» 初めまして〜、ありがとうございます!よろしければ二人の行く末を見届けてあげてください〜! (3月25日 17時) (レス) id: 28a2493194 (このIDを非表示/違反報告)
えむおーいー(プロフ) - はじめまして!コメント失礼します〜!読みやすくてとても面白いです!!これからも応援してます〜!!🥰 (3月25日 17時) (レス) id: d028db39a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロ | 作成日時:2024年3月19日 21時