すとぷりの酒豪お姉さん5

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今日も今日とてリハーサルです。

朝から晩までびっちり、細かいところまで確認して。連日のそれに、楽しい反面疲れも溜まってくる。


「ごめん、ちょっとトイレ」

さとみ「いってら〜」

ころん「顔色悪くない？大丈夫？」

「ん、平気。ありがと」


体力、ないなぁ。これでもだいぶ体力ついてきたほうだと思ってたんだけど。

バシャッと冷たい水を顔にかけたら、少しだけ気分がすっきりした。あともう少しだ、頑張れゆにこ！


りり「──あははっ！」


リハ室に戻ってドアを開けようとしたら、中からりりちゃんの笑い声が聞こえた。ほかのみんなの笑い声も。

そっと覗くと、メンバーの輪のなかに違和感なくりりちゃんがいる。楽しそうににこにこしてて、いいことのはずなのに胸がちくりと痛んだ気がした。

おもしろくない。りりちゃんがそこにいるのが。
りりちゃんだけが、そこにいるのが。


「……はは、」


わたし、最低だ。

ヤキモチ妬いちゃった、なんて、そんなかわいい感情じゃない。わたしのなかに燻ってるのは、もっと黒くて汚くて、ドロドロとした嫌な気持ち。

りりちゃんのことは嫌いじゃない。だけど好きにもなりきれない。いい子だとも、悪い子じゃないとも思うのに。

なのに、りりちゃんを好きだと言えないわたしがいる。


りり「ゆにこさん？おかえりなさい！」

「っ、あ……た、だいま、」

りり「？どうかしました？」

「……ううん、なんでもない、」

りり「そうですか？じゃあ私行きますね！みなさん引き続き頑張ってください！」


りりちゃんが手を振ってリハ室を出ていく。その背中を見つめながら、なんでわたしが戻ったらいなくなるの、とか、なんでわたしがいないときだけここに来るの、とか。嫌なことばかり考えちゃって、そんな自分がすごく嫌で。


「……ごめん、わたし、今日もう帰ってもいいかな」

莉犬「えっ！？」

ななもり「どうしたの？理由聞いてもいい？」

「ん、ごめん……やっぱちょっと体調悪くて」

るぅと「少し顔色悪いもんね……」

ころん「平気じゃないんじゃん」

「うん、……ごめん」

ジェル「謝らんでいいって」

ななもり「うん、リハ自体は明日もあるし、今日は早めに帰って休んだほうがいいかもね」

「ありがと」

さとみ「送るわ」

「ううん、1人で大丈夫。ありがとね」


みんなの好意に甘えて、そそくさとリハ室を後にした。

こんなぐちゃぐちゃな気持ちのまま、みんなの顔なんて見れなかった。


　

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