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電車の窓から差し込む月明かりがとても綺麗で、わたしは少し切ない気持ちになった。
こんな状況に置かれたら感傷的になるのも無理はない。
それでも見上げれば月があるのだから、ここが地球だということは証明されている。
別の惑星にいるわけではない、いやでも衛星がある地球に似た星なのかもしれない、なんてごちゃごちゃと思案していたら、動かしていた手が止まっていた。
「東雲さん？」
崖を登るロープを一緒に作っていた白浜さんがわたしの顔を覗き込んでいる。
「ちょっと考えごとをしてました。」
「そうでしたか..........あ、月が綺麗ですね。」
わたしの視線を辿った白浜さんが作業を中断して窓の外を眺めた。
目を細める彼は何かに思いを寄せているようで、それは元の世界の大切な人なのかもしれない。
「ふふ、夏目漱石ですね。」
「.....あ。いやそうじゃなくて、そのままの意味で.....」
「ごめんなさい。冗談です。.....不躾なこと伺いますけど、白浜さんはご結婚されてるんですか？」
「えっ？」
思いもよらないことを聞かれたからだろうか、白浜さんは珍しく少し狼狽えて、目をぱちぱちとさせている。
「同じ歳の消防隊員の友人がいるんですけど、みんな結婚しているので。白浜さんもそうかな？って思ったんです。もし答えたくなかったら大丈夫ですよ。」
「いえ.....俺は独身です。うちの上司が嫁さん貰って1人前だってよく言ってますね.....そういう風潮がある仕事なのは確かです。」
「ありますよね〜そういうの。」
うんうんと深く頷く白浜さん。
わたしのいた元職場も似たような風潮があったので、時代錯誤というか、本当にいやな考え方だなあと思っていた。
「東雲さんは.....されてるんですか？ご結婚。」
「いや全然です。パートナーもいませんし。今は1人が楽で色々充実してるので特に必要ないかもしれませんね。」
「そう.....ですか。」
なんとも言えない表情をした白浜さんがまた窓の外を見る。
焚き火の前には萱島さんと畑野さんがいた。
忘れ物のスニーカーを差し出す畑野さんを目にし、やはり彼女は素敵な女性だと思った。
勝手な邪推だが、白浜さんと萱島さんは多分畑野さんを意識している。
あれだけ気遣いのできる明るい女性なのだから当たり前なのかもしれない。
極限状態だから吊り橋効果もあるのかな、なんて考えているうちにロープが大体完成した。
明日はわたしも役に立てるよう頑張ろう。
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おこめ(プロフ) - 彩海さん» 彩海さん、今際に引き続きありがとうございます🥹色んな作品読んでくださって本当に嬉しいです！お褒めの言葉、更新のモチベーションにさせていただきますね💐続編もどうぞよろしくお願いいたします！ (5月24日 9時) (
レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
彩海(プロフ) - おこめさん！こっそり読ませてもらっていました！一話一話読み応えがあってとっても面白いです😌表現が繊細なのにすごく読みやすくて流石の文才だなあといつも感動してます！続編楽しみにしてます！頑張って下さい💘 (5月24日 8時) (レス) @page46 id: 3fb936871f (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - くまさん» くまさん、またコメントくださってとても嬉しいです☺️5話ドキドキの展開でしたね.....！！まだ落ちについて明言はできませんが、これから主人公と萱島さんの関係がどんどん深まっていきますので是非楽しみにしていて下さい！ (5月22日 10時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
くま - いつも素敵なお話ありがとうございます！ドラマの展開がアツすぎて！こちらのお話がどうなっていくのか楽しみです！！夢主ちゃん、萱島さんと結ばれてほしいです〜🥺 (5月21日 13時) (レス) id: 04b5add429 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ゆんさん» ゆんさん、コメントありがとうございます！お褒めいただきとても嬉しいです☺️頑張って更新してまいりますのでこれからもよろしくお願いいたします！ (5月17日 20時) (レス) @page36 id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おこめ | 作成日時：2023年4月22日 16時
