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不可解な世界の夜が明けた。
遠くから鳥のさえずりが聞こえる。
霞んだ空にぼんやりと浮かぶ朝日を眺めながら、わたしは小さく背伸びをした。
焚き火にくべていた小枝はすっかり燃え尽き、白く燻っている。
今日こそ水と食料を入手して、乗客たちの飢えと渇きをどうにかしなければ。
無くなった水を見つけた上で水源も確保できるのが1番好ましい。
時間は限られているのだ。
もたもたしていれば体力の無い者から衰弱してしまう。
誰1人欠けずに、乗り切ってみせる。
偽善でも、恩着せがましくてもいい。
この未曾有の状況で、犠牲者を出さないことなど無謀なのかもしれない。
理想論だけではどうにもできないかもしれない。
それでも。
魂に染みついたこの使命感が、わたしを突き動かそうとしている。
「ふぁ.........あ、おはよ。」
「おはようございます萱島さん。ちゃんと寝られ.....てないみたいですね.....」
記憶の引き出しをありったけ探りつつ対処方法を考えていると、すぐ横で背中を丸くして俯いていた萱島さんが大きなあくびとともに動き出した。
首を左右に振り関節を鳴らす彼の目元には、寝不足のためかうっすらとクマができている。
「電車で横になった方がいいと思いますよ？」
「ん.....いいよ俺は、結構寝たし.....ふぁあ.....」
「ふふ.....すっごい眠そうじゃないですか。説得力無いですね。」
萱島さんの瞼は今にも落ちてきそうだ。
なんだかおかしくて笑みをこぼしてしまった。
「東雲さんだってほとんど寝てないでしょ。」
「.....もともとショートスリーパーなんですよわたし。」
「へぇ。」
「.....帰省したとき、よく弟と徹夜でゲームしてたなぁって、ちょっと思い出しちゃいました。」
眠気まなこでこちらを見た萱島さんと目が合った。
「弟いるんだ？」
「そうなんですよ。うちも結構歳離れてて.....元気にしてるかな.....」
「.....どうかね.....」
お互いしばらく夜明けの空を見上げ、ため息をつく。
どうにかこの状況を打破したいと思っているのはわたしだけではない。
ここにいる全員が帰りたいと願っている。
.....そのはずだ。
「ちょっと電車の中に行ってきますね。萱島さんはまだ休んでて.....」
隣を見ると、萱島さんが静かに目を瞑っていた。
再び眠りに落ちた彼を起こさないよう、わたしはそっとその場を離れる。
あどけない寝顔を見て感じるこの気持ちは一体なんなのだろうと、沈思黙考しながら。
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おこめ(プロフ) - 彩海さん» 彩海さん、今際に引き続きありがとうございます🥹色んな作品読んでくださって本当に嬉しいです！お褒めの言葉、更新のモチベーションにさせていただきますね💐続編もどうぞよろしくお願いいたします！ (5月24日 9時) (
レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
彩海(プロフ) - おこめさん！こっそり読ませてもらっていました！一話一話読み応えがあってとっても面白いです😌表現が繊細なのにすごく読みやすくて流石の文才だなあといつも感動してます！続編楽しみにしてます！頑張って下さい💘 (5月24日 8時) (レス) @page46 id: 3fb936871f (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - くまさん» くまさん、またコメントくださってとても嬉しいです☺️5話ドキドキの展開でしたね.....！！まだ落ちについて明言はできませんが、これから主人公と萱島さんの関係がどんどん深まっていきますので是非楽しみにしていて下さい！ (5月22日 10時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
くま - いつも素敵なお話ありがとうございます！ドラマの展開がアツすぎて！こちらのお話がどうなっていくのか楽しみです！！夢主ちゃん、萱島さんと結ばれてほしいです〜🥺 (5月21日 13時) (レス) id: 04b5add429 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ゆんさん» ゆんさん、コメントありがとうございます！お褒めいただきとても嬉しいです☺️頑張って更新してまいりますのでこれからもよろしくお願いいたします！ (5月17日 20時) (レス) @page36 id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おこめ | 作成日時：2023年4月22日 16時
