赤い風船 ページ26
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ぼくは弟が少し苦手だ。
ほんの少しだけど、例えば弟が他人なら二度と関わらないぐらいは苦手だ。
弟もぼくが苦手のようだった。
きっと弟もぼくと同じようなことを考えているに違いない。
初めて彼が父の再婚相手の人に連れてこられた時、「あ、ぼくだ」と思った。目は虚で、足元はおぼつかなかった。自分の立ち位置がわからなくて右往左往していた。ぼくは彼に親しみは湧かなかった。ただ、『今日からイーシンの弟になるんだよ』と言われたので兄としての責務を果たそうとしたわけだ。そこらへんの…自分で言うのもあれだが、冷めた人格というか、割り切り具合が彼にとっては更に居心地を悪くする羽目になったそうなのだけど。
初めて会ってからずっと、彼はぼくに似ていると思っていた。
ジョンデは自分を「どうしようもない女から生まれたどうしようもない子供。血は争えない」と評したけど、
ぼくは自分を「どうしようもない父親が母に作らせたどうしようもない子供。じゃあどうしようもなく生きてやろう」と評した。
僕らはどうしようもない人間だった。
似ていると思っていた。
だけど、ぼくが高校を卒業したぐらいから、その考えは間違いであったと気づいた。
ぼくは飽き性だ。ひとつのゲームをクリアしたのなら、すぐさまもうひとつのゲームへ。攻略できないのなら仕方がない、得意なゲームへ。
ジョンデは凝り性だ。ひとつのゲームをずっとやってる。クリアしたら何か違う遊びを思いつく。ずっと同じ画面を見ている。
ぼくはそんなジョンデが理解できなくて、苦手だった。意味がわからなかった。なにかひとつのものに拘り続けられる神経がわからなかった(だからぼくは結婚に向いてなかったのだけど)
ジョンデはぼくに『兄さんは怖いね、なんでも簡単に捨てる。そのうち僕のことも捨てるだろう』と吐き捨てたけど、ぼくは最初からジョンデをぼくに繋がりをもつなにかだと捉えたことはないし、血の繋がりこそあれど、他人よりも他人だと感じていた。
強いていうなら、他人の家から旅行だからと預けられた猫。そんな存在だった。
ジョンデはよくぼくを怖いと言うけど、ぼくは自分よりも断然ジョンデの方が恐ろしかった。きっとぼくたちは似ても似つかない正反対の人間だったのだろう。
ぼくは屑だけど嘘が苦手だ。自分に正直な屑だ。無理なものは無理、辛いものは辛い。自分にとことん甘い。
でもジョンデは嘘が大好きな屑だ。嘘と結婚したような男だ。
苦手だ。
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さえ(プロフ) - カエルさんの言葉選びとか文章体がすごく好きです。引き込まれます。 (2017年6月3日 6時) (
レス) id: 463e3f37d7 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてました！綺麗事じゃ無いロマンチックな世界観がすごく好きでした！また期待してます！！！素敵な作品ありがとうございました！ (2017年4月3日 15時) (レス) id: 8f6e7b779b (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - ツイッターもフォローしてます！カエルさんのツイッターでの欲望丸出し！な文章も大好きですが、しっかり練りこまれた占ツクでのお話も大好きです！カエルさんの書くジョンデがとてもかわいくて大好きです！また占ツクでもジョンデ連載ぜひしてください(*^^*) (2017年4月3日 2時) (レス) id: fd832b5a03 (このIDを非表示/違反報告)
カエル(プロフ) - つかるんさん» ありがとうございます〜！！（ ; ; ）そのお言葉を励みに更新ドシドシ頑張らせていただきます！！（ ; ; ） (2017年3月27日 9時) (レス) id: d32f1fae21 (このIDを非表示/違反報告)
カエル(プロフ) - pumpkinさん» ありがとうございます（ ; ; ）勿体無いお言葉でございます…！（ ; ; ） (2017年3月27日 9時) (レス) id: d32f1fae21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おたまじゃくし | 作成日時：2017年3月24日 13時
