傘を持たない昼下がり ページ3
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「今日あたしトンカツ定食」
「えー、あたしうどんにしようかな」
「何でもいいやー」
昼下がりの社食は多くの人で賑わっていて、トレイを持つ手が右往左往。あー、あの人退くかな、あの隣はいやだなぁ、うわ、水溢れてる…拭いとけよ〜。不意にチ ャニョルと目が合って、キラキラの笑顔で隣を指差されるけど、生憎その若々しいキラキラチームに入って談笑できるほどの強いメンタルは持ち合わせていない…。
「あ、あそこ空いた…けど、うっさそー」
「うーん…他もマチマチだし、そこにしとこうよ」
結局チ ャニョルたちのグループの前へ。若い子のノリってすごいなぁ、私たちもあんな感じだったのかなぁ…。不意に後ろを向くと、噂の彼とばちりと目が合った。
「(…気まずい)」
すぐに目を逸らしてしまう。ジウンは脂が多いだの、お絞りが乾いてるだの、ぎゃあぎゃあ文句を言っていて、私は今も背中に彼の視線が突き刺さっているような気がして、なんだか上手くうどんが喉を滑らない。
「ね、ジョンデってAさんのこと好きってまじ？」
喧騒が消える。私の耳は全ての音を遮断して、ただその言葉だけを拾っていた。食堂が水を打ったように静かになったのではない。私の全神経が背中越しの会話に注がれていただけだ。
「(あぁ、いやだ。なんか、いや)」
名前も思い出せないけど…えっと、受付の子。彼女は後ろに「Aさん」がいるとわかって、彼に聞いたのだろうか。いや、そうに違いない。きっと彼女は…
「え、流石にないでしょ。おばんじゃん」
おばん
おばん
お盆…あ、ちがう
おばん。
脳内検索中。三十路、おばん。検索結果、賛否両論。私の心、雨模様。
あーあ、だっせー。
「それ、ユラが勝手にさー」
「好きだけど」
「え？」
「好きだけど、なに？」
誰かが傘を差してくれた。
自分が濡れるのも厭わずに、傘を差してくれた。
水滴が溢れたけど、それは雨ではない。
「え、どうしたのA…」
なんでもない
なんでもないよ。
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さえ(プロフ) - カエルさんの言葉選びとか文章体がすごく好きです。引き込まれます。 (2017年6月3日 6時) (
レス) id: 463e3f37d7 (このIDを非表示/違反報告)
pumpkin(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてました！綺麗事じゃ無いロマンチックな世界観がすごく好きでした！また期待してます！！！素敵な作品ありがとうございました！ (2017年4月3日 15時) (レス) id: 8f6e7b779b (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - ツイッターもフォローしてます！カエルさんのツイッターでの欲望丸出し！な文章も大好きですが、しっかり練りこまれた占ツクでのお話も大好きです！カエルさんの書くジョンデがとてもかわいくて大好きです！また占ツクでもジョンデ連載ぜひしてください(*^^*) (2017年4月3日 2時) (レス) id: fd832b5a03 (このIDを非表示/違反報告)
カエル(プロフ) - つかるんさん» ありがとうございます〜！！（ ; ; ）そのお言葉を励みに更新ドシドシ頑張らせていただきます！！（ ; ; ） (2017年3月27日 9時) (レス) id: d32f1fae21 (このIDを非表示/違反報告)
カエル(プロフ) - pumpkinさん» ありがとうございます（ ; ; ）勿体無いお言葉でございます…！（ ; ; ） (2017年3月27日 9時) (レス) id: d32f1fae21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おたまじゃくし | 作成日時：2017年3月24日 13時
