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視界いっぱいにジョンデ先輩。
少し潤み、熱を帯びた眼差し、頬に添えられた手の熱さ、その全てに神経が集中しているようで、わたしは瞬きすらもできなかった。
「…なんてね、びっくりした？」
スルスルと離れていく手に寂しさと、羞恥心がこみ上げる。今何を期待していた？でも、あんな距離。
まるで恋人同士みたいじゃないか。
「いい身分だね、ジョンデ」
地を這うような低い声が聞こえた。
硬直したように動けなくなったジョンデ先輩に驚いて、思わずドアの方を見ると
『お、お兄ちゃん…』
「まさか僕の妹に手を出すとはね…謝罪１つじゃ済まされないよ…」
『えっ、知り合い？』
「ご無沙汰してます、イシンヒョン…」
「A、ひどいじゃないかお兄ちゃんに内緒で彼氏だなんて…！
しかもなんでよりによってジョンデ！？いや、そこいらの奴に渡すぐらいならジョンデがいいけどなんでジョンデ？！」
『関係ないでしょ！早く出て行って！お母さーん！！』
「そんなことだろうと思ったわ。あんたも早くシスコン卒業するべきよ。会社に戻りなさい」
「母さん！またしても僕の邪魔を…！A帰ったらしっかり説明してもらうからね！あとこれアクエリ！アイス！雑誌！漫画！」
「あんたって本当に律儀ね、じゃあジョンデくんごゆっくり〜」
半ばお兄ちゃんが引きづられるような形で、二人は退散していった。ドアの向こうからでもお兄ちゃんの断末魔のような声と、呪いのような言葉の羅列が聞こえてくる。
『知り合いだったんですか？』
「昔、ダンススクールで…ダンスを教えてもらったんだよ、まぁなんとなくAのお兄さんなのかな〜、とは勘付いてたけど…」
『すいません、いつもあんな感じで、不甲斐ない兄で…』
「いや、イシンヒョンは格好いいよ、すごく。今だってAが心配で会社を抜け出して来たんだろう？そりゃぶっ飛んでるけど、本当にAが大切なんだね」
まるで自分のことのように誇らしげに語る先輩に笑みが零れる。あーあ、あとでお兄ちゃんになんて言えばいいんだろう。
「明日はゆっくり休んで。また来るよ。で、もし全快したら…日曜日はデートにでも行こうか」
ゆっくり、諭すように耳触りのいい声が耳に響く。
日曜で、私たちは恋人ではなくなる。
『はい、ぜひ』
ジョンデ先輩の隣を歩いたこの1週間は幸福で満ちていて、
たとえどんな結末を迎えようと、その形がどれであれ、幸せだったとわたしは思うのだろう。
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はな(プロフ) - すごく素敵なお話でした！ (2017年3月27日 6時) (
レス) id: d0f5a1909d (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 終わっちゃったー(T ^ T)と思ってたら、第2章があるんですか！！めっちゃ楽しみにしてます(●´ω｀●) (2016年9月20日 5時) (レス) id: 2f3c87829d (このIDを非表示/違反報告)
Saki(プロフ) - 今日見つけて一気に読んじゃいました！続編楽しみにしています（≧∇≦） (2016年9月10日 0時) (レス) id: 972655b531 (このIDを非表示/違反報告)
miumiu＊(プロフ) - うわぁ！セフンの番外編、とても楽しみにしてます！！ (2016年9月6日 23時) (レス) id: a7167be795 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - こんにちは！連載お疲れ様でした！最終回がすごく良かったです（ ; ; ）続編楽しみにしています！ (2016年9月6日 2時) (レス) id: e1b9d5ab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえる | 作成日時：2016年8月18日 16時
