Episode.8 ページ9
________________You side.
今日も今日とて仕事に没頭。
朝シルクさんに会えるのは良いんだけど、
こうして、1日中パソコンに向かったり電話対応したりするのはかなり重労働。
「…はあ…」
疲れゆえのため息をついてしまったその時、
突然ライン電話の着信音がけたたましく鳴った。
そんな些細なことでもイラッとしてしまうほどキツイ仕事だった。
…けど、その考えは一瞬で覆されることに。
「…〜っ、！？」
椅子から思わず転げ落ちそうになる。
焦りすぎてデスクの上の書類ファイルをぶちまけてしまったけど、そんなことはどうでも良かった。
…まさかシルクさんから電話かかってくるなんて夢にも思わなくて。
震える手で画面をスライドさせて、
「もしもし」と、本当にシルクさんなのかどうか半信半疑で言ってみた。
『なんでそんな警戒心丸出しだよ』
「だ、だってかけてきてくれたの初めてじゃないですかっ…？だから何かの間違いじゃないかと思って…」
他の社員に詮索されてはいかん！、と私は急ぎ足で廊下へ出た。
…待って、これ、ホントにシルクさんなんだよね？
『たまには俺からしてやってもいいかなと思っただけ』
「いくらなんでも勤務中は心臓に悪過ぎます！クッソ嬉しいですけど！」
『嬉しいならいーじゃん』
…あんまり、期待させないでくださいよ。
こんなの逆に仕事に身が入らなくなる。
シルクさんの声がずっとずっと頭の中でぐるぐる回って、きっと鳴り止むことはない。
「…でも、声、聞けてよかったです。
仕事に嫌気がさしてたんで」
『おう。そりゃ何より、頑張れよ社畜！』
「いや社畜て！！」
シルクさんは、私のそのツッコミに大笑いする。
最近、出会った頃よりよく笑ってくれるのが凄く嬉しい。
そんなことにしんみりと嬉しさを感じながら、私は端末を握り締めた。
「…シルクさん」
『んー？』
「一緒に住めたら、私こんな寂しい思いしないで済みますよ？」
『チョコうめえ』
「無視ですか！！！」
まあ、そんなことできたら苦労しないけど。
少し名残惜しく感じつつ、シルクさんに「じゃあ、また」とさよならをする。
こんなに楽しい電話をしたのは今日が初めてだった。
『…明日』
「え？」
『…また、明日な』
電話の向こうで、
シルクさんの優しい声がした。
「…は、いっ…!」
声が裏返ったけど、もう何でもいいや。
この嬉しさに変えられるものは、他にはない。
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バニレ - すごく面白かったです！更新待ってます！ (2019年8月27日 22時) (
レス) id: f80ec30866 (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - 続きめっちゃ気になります！暫く更新出来てないみたいですけど、いつまでも待ってるんで頑張って下さい！ (2017年7月19日 15時) (レス) id: a596f4f896 (このIDを非表示/違反報告)
凛斗(プロフ) - 続き気になってしかたがないんです！！忙しいかもしれませんが頑張ってください！ (2017年5月28日 18時) (レス) id: 81a18ee839 (このIDを非表示/違反報告)
はらぺこあおむし - この作品自分大好きです！！これからも頑張ってくださいね！ (2017年4月20日 18時) (レス) id: a20871a210 (このIDを非表示/違反報告)
あやー - 13話だ♪〜〜 楽しみです (2017年4月1日 13時) (レス) id: 1d1b73104d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：り る る | 作成日時：2017年2月11日 21時
