Episode.12 ページ13
________________You side.
「…お前、俺のことが好きなんじゃねーのかよ」
シルクさんの口から出てきたその言葉の意味。
馬鹿な私にはどうやら理解不能。
____もちろん、即で頷く所なんだろう。
だけどね、何でかな。凄く凄く、怖くて。
もしかしたら、さっきの保田くんの、見られてた…?
そんな不安ばかりが募る。
「…っ。シルクさん…さっきの見…っ」
気付いたら、呼吸も出来ないほど強く強く彼の腕に抱きとめられていた。
____やっぱり今日のシルクさんは、どこかおかしい。
ぎゅっと唇を噛み締めて、私はシルクさんの胸を押し返すように離れようとするも…
男の人の力には、勝てるはずもなく。
「…シルクさんお願い、話を聞いてください」
「…嫌だ。聞きたくない」
「…っ」
誤解をとかなきゃ。
保田くんとはなんとでもないって。
なのにどうして？何で聞いてくれないの？
どうして…そんなに強く抱き締めるの？
分からない。
ますますあなたが分からないよ。
やっと近付けたと思っていたのは、私だけだったのかもしれない。
冷たい風が私たちを通り過ぎてく。
よりいっそう彼の腕の力は込められて。
私はなんにもできないまま、彼に抱き締められたまま黙っていて。
こんな時間、早く過ぎてしまえばいいのに。
「…シルクさん、あの人はただの同僚です」
「同僚があんなことすんの？」
「…それは保田くんがそういう人なだけでっ」
___それは、本当に突然だった。
ぐいっと肩を掴まれ、強く押される。
すなわち、私はシルクさんから引き剥がされた。
それと同時に、彼の冷たい視線が私に降りかかってくる。
「…お前がどんな男と付き合おうが、俺には関係ない」
どーでもいい」
その言葉は、まるでナイフのように私の心を抉った。
心做しか目の前が真っ暗に見える。
…嗚呼、何だ。そうだったんだ。
なら、あんなに強く抱き締めたのは何で？
電話掛けてきてくれたのは何で？
「また明日」って言ってくれたのはなんで？
「____…知ってます」
ウソばっかり。
こんな震える声で言っても、説得力無いし。
でも、次から次へと零れ落ちてくる涙を拭う気力すらも失われてしまって。
シルクさんが目を逸らすのが分かった。
私は、ふいに後ろを向いてゆっくりと重い足取りで帰路を歩いた。
____シルクさんが来た道と、逆方向。
「ふ…っ、ぅ…ぇえ〜…っ」
何で気付いてくれないの？
貴方に、恋してるのに。
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バニレ - すごく面白かったです！更新待ってます！ (2019年8月27日 22時) (
レス) id: f80ec30866 (このIDを非表示/違反報告)
真依(プロフ) - 続きめっちゃ気になります！暫く更新出来てないみたいですけど、いつまでも待ってるんで頑張って下さい！ (2017年7月19日 15時) (レス) id: a596f4f896 (このIDを非表示/違反報告)
凛斗(プロフ) - 続き気になってしかたがないんです！！忙しいかもしれませんが頑張ってください！ (2017年5月28日 18時) (レス) id: 81a18ee839 (このIDを非表示/違反報告)
はらぺこあおむし - この作品自分大好きです！！これからも頑張ってくださいね！ (2017年4月20日 18時) (レス) id: a20871a210 (このIDを非表示/違反報告)
あやー - 13話だ♪〜〜 楽しみです (2017年4月1日 13時) (レス) id: 1d1b73104d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：り る る | 作成日時：2017年2月11日 21時
