Lovely Summer！2(JW赤緑) (ページ10)

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　あまり察しが良くないことは自覚している。

　それでも薄ら、もしかしたら、と思ってしまうのだから相当わかりやすいアプローチなのだと思う。現に流星には疑われてしまったし。

　小学生のときにしげが好きだったスナック菓子の入ったビニール袋を下げて重岡宅の前に立つ。約束の日が来てしまった。

　結局、今日はどういう意図で呼ばれたのか、何をしたいのか、何もわからない。小学生の頃は家で遊ぶといえばゲームだったけど高校生になった今ではどうなるのだろう。流星や他の友人たちとも勝手が違うから困る。ただ目の前に約束があるだけだった。

　あの日、どっちでもいいと返信したLINEには土曜日でと返ってきた。時間は11時。お昼ご飯はどうするのだろうとお金もある程度持ってきている。なんとなく、ご馳走になる未来が見えているけど。

　深呼吸を一つしてインターホンを押した。スマホのロック画面には11時3分と表示されている。ちょうどいいくらいの時間のはずだった。

「いらっしゃい」

　玄関の扉を押して出てきたのはしげだった。早く上がってと言われるがままに上がると、洗面所に通されたのちそのまま部屋に案内された。どうやらしげの家族は出払っているらしかった。

「はい、これ」
「わ、これ俺好きなやつやん」
「ほんまに？変わってなくて良かったわ」

　ビニール袋ごと渡すと上から中を覗いて嬉しそうに笑った。ありがとうと屈託なく笑う姿には小学生の頃の面影がしっかりと残っている。

　「あとで食べよ」と袋を机の上に置いたしげが、おもむろにベッドの下から箱を取り出した。何をするつもりなのだろうと思っていると箱が開けられると中から見慣れた機器が顔を覗かせた。

「神ちゃんゲーム好きやんな？」
「うん、まあ」
「な、じゃあゲームしよ。久しぶりに」

　箱から機器を取り出したしげがあ、と思いついたとばかりに声を出した。

「そうや、今誰もおらんのやしテレビ使ってもええやんな？」
「俺は知らん。てかリビング入ってええの？」
「神ちゃんならええやろ、多分」

　迷惑ちゃうやろか、とかあとで睨まれたりしたら嫌やなとか考えているうちにしげは箱ごと抱えて立ち上がっていた。止めることも頷くこともできずにいると、はよ行こと促されて、そのまま大人しくしげの後ろをついていくほかなかった。