Lovely Summer！2(JW赤緑) (ページ3)

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あれこれ考えているうちに教室内3つ分離れたしげのクラスにたどり着いた。中ではまだホームルームが行われている。5分もかからないだろうから、後ろドアのそばで壁に寄りかかって待つことにしよう。手に持ったままのスマホに溜まった通知を次々と消化していく。

突然だが、しげと俺は恋人という関係である。
世間一般の恋人とは違い同性なのだが、さすがは男子校、それを気にする人は少なく、半分以上の人に祝われついでにからかわれてしまった。最初は恥ずかしい気持ちもあったが次第に嬉しくなり、ヤケになってしげにくっついた事を思い出す。当時も相当だったが今考えても恥ずかしさで蹲ってしまいそうになる。
普段は明るくて優しく、更に顔も整っている、贔屓目抜きでもかっこいい所謂スーパーダーリンと言われる自慢の彼氏だ。
一見非の打ち所のないしげなのだが、傘だけはほとんど持ってこないのである。悪びれない態度で、毎回｢あ、傘忘れた……｣などとほざいているが、わざとなのはわかっている。1度わざとだろうと詰めたことがあるが、しげが隠せているつもりでいるから知らないふりをしているのだ。

先生の｢さようなら｣の一言で壁を挟んだ向こう側の教室が一気にざわめく。中を覗けば、視界の隅で友人の支度を待っている1人が大きく開いた足の間で臙脂色の傘をブラブラと前後に揺らした。
｢あ、神ちゃんや。今日もしげ？｣
何度も迎えに来ているうちに顔見知りになった彼にうんと返事をして、腕にひっかけた傘を見やる。妹に貼られたアニメキャラクターのステッカーと目が合った。真っ黒な傘には到底似合わない、女児向けアニメのお助けキャラと呼ばれるマスコットだ。確か名前は、やしろんとかそんな感じだったはず。
｢傘忘れたって？｣
｢忘れ物の多い彼氏さんで神ちゃんも大変やなあ｣
｢ほんま勘弁してほしいわ｣
顔を上げ苦笑していると肩に誰かの手が乗り、ななめ上の方から声が聞こえた。俺より少し高い体温がじわじわと浸透してゆっくりと混ざり合う。

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