Lovely Summer！2(JW赤緑) (ページ19)

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欲張りな恋人たちページ19

　
「神ちゃんも嫉妬すんねんや」
「へ？」
「険しい顔してる」

　前を歩く姿を見ながら流星はなんてことないように言った。
　しげとのんちゃん。楽しそうに戯れ合いながら歩いているしげは、俺はあまり見たことのないような顔をしているように見えた。
　いつもと違う帰り道。違和感があるだけ、って思ってたけどそれだけじゃないのかもしれない。

　それぞれの部活終わり、しげと流星と俺と3人で駅までくだらない話をするのがお決まりだった。思ったよりも饒舌な流星としげが2人でふざけ合ってるのに少し置いていかれながら笑って、流星とだけホームで別れたら、歩いている時よりも落ち着いたしげと2人でのんびり話しながら電車に揺られる。

　そこに1人、後輩ののんちゃんが増えただけなのに、いつもと全然違う気がした。他の友達と帰る時も遊びに行く時もあるはずなのに。

「やっぱ部活でも仲良いん？」
「まあな。でも2人1組って言われたら俺としげやし。そこら辺は安心してええんちゃう」
「んー、なんか求めてた答えとちゃう」
「あ、そうなん？」
「うん。別にのんちゃんの眼中にしげがいないことくらいわかってるし」

　さっきと変わらずふざけて笑いあってるしげの横顔が少し前にある。その隣の、しげと流星と同じ、サッカー部の後輩ののんちゃんの瞳にそういう色はない。ただの仲の良い友達なのは傍にいてもちゃんとわかっている。

「でも、まあ確かに。しげは流星とかのんちゃんといる方がええのかなって思うときもあるにはあるで。俺の前ではあんな風にはいてへんし」
「え、俺にも？」
「うん。流星はそういう気なさそうやから滅多に思わんけど、こう、しげの騒げる友達枠として？」
「あーなるほどな。しげ、神ちゃんの前では大人しいもんな」

　そう、大人しい。
　俺しか見れない姿なのかもしれないとも思う反面、ああやってふざけたりイタズラしたりする姿は俺以外の友人たちしか真正面からは見られない。そんな現実を突きつけられては時折、針を刺されたような気分になる。