Lovely Summer！2(JW赤緑) (ページ16)

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ベンチにてページ16

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　平日の午後5時すぎの電車内は、仕事帰りのサラリーマンや部活終わりであろうジャージ姿の学生などで程よく混みあっていた。座席やドア横の手すりは既に埋まっていてつり革に捕まるしかない。
　リュックを前に背負いホームドアに書かれている3両目2番ドアの前に並ぶ。俺より先に降りるしげの最寄り駅の、改札へ向かう階段の目の前だ。
　いつもは3人で帰るのだが、今日は流星が熱を出して休んだためしげと2人での帰宅となった。朝は別々に来ているから、俺らがそれを知ったのはホームルームでの事だった。
　アナウンスとともにホームに入ってきた電車に乗り込む。案の定席は空いていなくて、端の席の目の前のつり革に捕まる。しげはその隣に立った。

　共通の友人だった流星を経由して話すようになったしげとは、実はあまり2人きりで話したことがなかった。
　しげからしてみれば流星のおまけのような俺と話す義理はなく、なんなら嫌われているとさえ思っていたのだ。そのせいで2人でいると、今の話し方キモかったかな、とかこの話面白くないかな、とか色々と考えてどんどんと話すのが怖くなってしまう。
　つい考えすぎてしまうのは悪いところだと自覚しつつもそんな簡単に治るものでもないことを知っている。
　ふとしげがどんな顔をしているのか気になって、自分より少し上の横顔を見やった。
　しげは何も考えていなさそうなスンとした顔で窓の外を見つめていた。

　そういえば、クラスの女子が｢重岡の横顔が好き｣だなんて騒いでいたっけ。俺は流星にしつこく絡んでは怒られているしげを知っているからかっこいいとかは思わないが、確かによく見れば顔は整っている、方だと思う。
　目は大きいし鼻高いし、顎はシュッとして男らしく、程よく筋肉がついて体が分厚い。出会った頃に聞いた趣味は筋トレだったはず。
　無意識にじっと見ているとこちらに気づいたしげが｢ん？｣と眉を上げ顔を覗き込んだ。綺麗なアーモンド型の目に見つめられ、ふと息がとまる。
　タレ目がちな瞳が俺を捉えて離さない。なんだか目が逸らせなくて困ってしまう。結局瞬きの隙に視線をずらしてやり過ごした。こっちが視線を逸らしてもじっと見られているようでかなわない。少しの居心地の悪さを感じながら次の駅に到着するのを待つ。
　電車が止まりドアが開く。やはりここでも人がたくさん出入りして、しげとの距離が詰まった。鬱陶しいだけのドライアイが今日だけは役に立った気がした。

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