Lovely Summer！2(JW赤緑) (ページ12)

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「いただきます」

しげが運んできたカレーを前にして手を合わせる。
　一口掬って冷ますようにふうふうと息を吹きかけて、舌の上に運び入れる。熱いけど美味しい。家庭のカレーの味。

「美味しい」
「ほんま？おかん喜ぶわ」
「しげもちゃんと言ったり、おかんありがとう美味しいでって」
「うーん、ちょっと恥ずいかも」

　俺が口に入れるまでまじまじと見つめてきていた眼は、安堵したように細められた。自分で食べては、美味いけどいつものバーモンドカレーやなあと言いながら更にひとくち口の中に入れていく。
　さっきのゲームの話をしながら食べていると不意にぽつりとしげがこぼした。

「なんやちょっと同棲してるみたいやなあ」

　あまりの唐突さにカレーに向いていた視線を思わずあげてしまった。当の本人は呑気にカレーを頬張っていて、けれど目が合うなり、あ、と固まった。ついうっかり、とでも言うように。

「そうでもないんちゃう、かなあ」

　そうでもないんちゃうってなんやねん。
　咄嗟に口にした言葉は意味を成していなくて、ただ、カチャリと食器とスプーンがぶつかる音だけがリビングに響いている。
　気まずさに互いに閉口してしまって、どんどんと加速していくばかりだった。

「神ちゃんやって気づいてるくせに。白々しいで」

　2人して早足に食べて綺麗になった皿を見つめながらしげが言った。

　
「……気づいてどうしたらええねん、あんな逃げ道のないことばっかりしよって」

「逃げ道って」

「この前のLINEやってさ、既読つけてちょっと返信せんかっただけであんなん送ってくるし。断ったら俺が悪いみたいやん」