Lovely Summer！2(JW赤緑) (ページ2)

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忘れん坊ページ2

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｢うげ、｣
6限後のSHR中、誰かが声を上げた。それは窓側の列の人によるもので、どうやら雨が降っているらしい。6限のうちから小雨だったのだが体育館での授業だったために気づかなかったのだ。
つい先刻のバレーボールによってアザが増えた腕を擦りながら窓の外を眺める。
パラパラと音を鳴らせた雨が窓を伝って地面に続く。グラウンドが湿って色を変えた。
空は暗く、普段のあの爽やかな青を黒い雲が覆い隠していた。
天気予報の降水確率は60%ほどだったはずだ。今日は傘を持っていくべきだと情報番組のお天気お姉さんも言っていた。俺は玄関に置いてきてしまったのだが、幸運にも置き傘がある。しげは──期待はできなさそうだ。
想像しやすいしげの姿にひとりにやけていると、クラスメイトの嘆く声が聞こえてくる。
｢最っ悪、傘忘れてきたのに｣
｢え、びしょ濡れで帰るん？キッツ！がんばー｣
傘が無いと頭を抱えるもの、笑いながらからかうもの、教室内はだんだんと騒がしくなっていく。
｢続き言ってもええかー？静かになー｣
担任の声で騒がしさは少しづつおさまり、連絡が伝えられる。夏休み前にある文化祭についてだった。まだ準備は始まらないがワクワクは今からますます大きくなっている。
先程までまばらに窓を叩いた雨がもう大降りになっていた。家に帰るまでに止むことはないだろうと見越して、机の下でスマホを手に取った。
さようならの合図で椅子を机に上げ、教室の後ろへ下げる。今日の掃除当番は3班だ。すれ違う用具箱からほうきを取り出す3班のメンバーと挨拶を交わし教室を出る。
開かれた画面には『かみちゃん傘入れて〜〜！』の文字。やはり傘は持ってなかったかと苦笑して、廊下の傘立てから置き傘を手に取りしげの教室へ向かった。

入学時のクラス分けでしげとはクラスが離れてしまった。中学はずっと同じクラスで、今年初めて違うクラスになってしまい最初は戸惑った。中学の間不登校にならずにすんでいるのは底抜けに明るいしげのおかげだった。
中学では話したことのなかったしげの友達が気を使ってくれたおかげでこのクラスにも馴染めたが、彼らがいなければどうなっていたか分からない。今度こそ不登校になっていたかもしれないと思うと感謝でいっぱいだ。

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