短編 (ページ29)

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蚊帳の外ページ29

べったー掲載作品です
※モブ目線
※配信者パロ

以上了承の方のみどうぞ。文句は受け付けません。

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｢こんばんは〜ともくんやで〜｣
イヤホンから聞こえる高めの声が私の疲れを癒していく。キツく聞こえがちな関西弁すらも癒し要素のひとつになっていて、これなしの生活なんてもう考えられなくなっているほどに、彼にどっぷりとのめり込んでしまった。

21時から配信と聞いていたから、いつもなら22時ほどまでの残業を1時間半早く終わらせてきたのだ。本当であれば自宅でゆっくりと聞きたいところなのだが、願いは虚しく現在電車内である。今日はまあいいかと無理矢理納得させ、脳みそを画面に集中させる。
｢はいこんばんは〜｣
｢あ、今日終業式やったん？冬休みかあ、ゲームし放題やん。ええなあ｣
続々と流れるコメントを読み返事をしていく智洋、通称ともくんは、最近人気の実況者だ。
YouTube上に個人チャンネルを持ち、週に1度程配信を、2週に1度動画を投稿する。最近の活動は専らゲーム実況で、過去には何度か雑談配信もしていた。
ホラーゲームが苦手らしいのだが、視聴者のリクエストには王道からマイナーまで沢山のホラーゲームが寄せられる。勘違いしないで欲しい、決して嫌がらせをしたい訳では無いのだ。ただその怖がり方がとんでもなく可愛く、欲望に塗れたリスナーがリクエストを送り続ける。私もその1人であったりする。

閑話休題。

今日はかの有名なうさぎのゲームをすると予告していたが、あれは2人用ゲームだ。誰とやるのだろう、考えた時に思い浮かぶのは他の配信者、実況者だが、彼にはコラボできるような友人はいなかったはず。
では、誰と？
首を捻る私を他所に声は止まらない。
｢あ、もう始める？おーけー、ちょい待ってな｣
カチカチとマウスのクリック音が響き画面が切り替わる。右下にはいつものともくん、左下には見慣れない、黒髪の男がいた。
｢今日はねー、特別ゲストが来てくれてん。びっくりした？せやろ！｣
口元に手を当てくふくふ笑うともくんは文句なしに可愛い。特別ゲストやらもそう思っているのか、優しい目でともくんを見ている。