短編 (ページ26)

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好みじゃないのにページ26

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昼休憩が終わり、誰もが眠くなってくる午後2時。直属の上司にあたる元俺の教育係の先輩に呼び出された。

｢重岡｣
｢はい！｣
｢ここミスっとる。これは俺が直したからええけど、次はないからな！｣
｢すみません！ありがとうございます！｣
｢あ、あと今日空いてるか？連れていきたいとこあんねん｣

ああ、グッバイ俺の自由時間。悲しきかな、まだまだ入りたてほやほやの俺に先輩の誘いを断る権利があるはずもなく。落胆を隠し間髪入れずに答える。

｢空いてますよ！ほんますか？楽しみっす！定時に上れるよう頑張ります｣
｢はは、無理すんなよ！｣
｢はい！｣

ぺこりと頭を下げデスクに戻る。頑張ると言った手前やる気は見せなければ変な風にとられてしまう。はあ、と溜息をつきながら溜まった仕事を片付けることにした。

｢くくく、誘われてやんの｣
｢……なんやねん｣
｢残念やったなあ？酒飲むつもりやったんやろ｣
｢ほんまにな、俺の予定全部パアよ。つか、残念って言うなら変われや、流星｣
｢今日はデートやし無理や｣
｢はーーー、頼む帰らせてくれ……｣
｢ふっ、がんば｣

嫌味ったらしく右の口角を上げ笑う男、藤井流星。俺の同期。容姿端麗でいつもは天然を炸裂させぽやぽやしてる割に仕事が早く、女の子にいつも囲まれている。さらには笑った顔が可愛いというギャップ付き。そりゃあモテますわな。
流星から口先だけの応援を受け、パソコンに向き直った。