愛に交えて君想ふ。 (ページ25)

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我儘ページ25

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前々から今日は家でゆっくり映画でも見ようと予定を立てていたらしい彼女

珈琲を入れ、午前中から気の抜ける時間を過ごす

＿＿＿＿＿＿

『......研くんの手、すきだなぁ』

映画を見る片手間に僕の手を弄っていたAが突然口を開く。

「......おいしそうにでも見えてるの？」

好きな子に、つい意地悪な返しをしてしまうのは
何も幼い男の子に限った話しでは無い。

『んー、、食べるとしたら研くんだよね。』

ねぇ。何言ってるの？
「僕しかダメだよ。」

『ふふっ』

嬉しそうに笑う君に、体がじわっと温まる

彼女は1度だって僕を否定しない

彼女から否定の色を見た事がないし、

寧ろ僕が何をしても彼女が受け入れる未来が安易に思い浮かぶ。

なぜこれほどに彼女との空間が落ち着くのか分からないのに

僕は焦りを覚えすらしない

彼女は僕だけの薬のようだ。

＿＿＿＿＿＿だから。

『...食べるのも、私だけだったらいいのに』

＿なんて、聞こえる声で言わないで？

君がいない世の中なんて、
無価値ソノモノなんだから。

僕は、君の初めての我儘に聞こえないふりをした。