愛に交えて君想ふ。 (ページ15)

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隻眼ページ15

彼女の居るはずのないあの場所へ向かう

彼女を追いかけ抱きとめた人通りの少ない道

学部が別なおかげで別棟の彼女とは学校で会う機会はほとんど無くて

いつだって彼女があんていくへ来てくれていた

もう彼女の香りすら残っていないこの道でも彼女の香りがする様な気がするのは

そうであって欲しいという欲望から来る期待だろうか

手首を後ろに引かれる感覚にドキリと胸が嫌な音を立てる

『けん、くん？』

逢いたかったけど逢いたくなかった人がそこにいた

これじゃあ忘れられない

これじゃあ、君をつれて行きたくなってしまう

「どうして...わかるんですか」

髪だって匂いだって、変わっているはずなのに、なんで

『好きな人だもん、どんなに遠くに居てもわかっちゃうよ、、』

そう言って手を伸ばして僕の白い髪に触れる彼女は

"きれい"

と呟いて好きだと嘆いて仕方ない瞳を僕に向ける

でもきっと僕が喰種だといったら、彼女だって瞳の輝きを黒くして、僕から離れていくに違いない

だから今だけ、今だけは...

そばにいさせて。

＿＿＿

「僕は、僕はあなたに愛されていい人ではないんです」

彼女の真っ直ぐな瞳から目を逸らしてしまう

『どうして、？それを決めるのは私なのに』

「っ、、」

「、、、僕は、人間を喰う喰種だ。」

隻眼の瞳を彼女に見せる

『...鼻がいいって、教えたよ？私。』

驚きもせず微笑みながら彼女はそう言う

「しって、います。」

『出会った時から、けん君から喰種の香りが半分、すること知っていたの』

思わず目を見開く

そこまで鼻がいいのを知らなかった

でもおかしい

人間で喰種か人間かの判別が香りでつくなんて＿＿

その時、彼女の隻眼が姿を現す

なんだ

これは

おかしい

だって

彼女からは

今だって

人間の香りがしている＿＿＿＿＿＿