不器用な贈りもの (ページ8)

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携帯の画面を照らせば、そこには一通のメール着信があった。

届いた事に嬉しくなったが、俺が送ってからすぐ返信してくれたのに無駄な事に時間を使ってしまったのが惜しいと感じ、すぐにでも返信出来なかった俺の不甲斐なさに惨めな気持ちになる。

こんな些細な事なのになぁ…玲奈が知ればからかわれるのがオチだ。普段のみーちゃんらしくないなんて。

…気落ちしてしまったが、メールの内容をみて俺の塵のような気持ちが風に吹かれどこかへいった。

『シチューにするね、みーちゃんも大好きでしょ( ´艸｀)』

シチューかぁ…確かに俺も大好きだ。でも玲奈ってば、俺はあくまで玲奈に気持ちを託して玲奈の好きな鍋を選ぶと思ったんだけどなぁ。

心優しい彼女の一面を見れて、胸中に温かい気持ちが広がっていくのを感じる。

今は準備に取りかかっている最中だと思うから、メールの返信はあとでにしておくか。

俺もあと少しで終わりだ。帰れば愛しい彼女に美味しい食べ物が待っている。嬉しいことこのうえない…ただ、その前に目の前の課題を終わらしてからじゃないとな。

俺は残業自体は好きじゃないが、玲奈との夜食のやりとりは好きで、その間を待つ楽しさというものは他人には知り得ないものだ。

おかげで、挫けずに頑張れているものだ。
向かいのデスクで資料に目を通しているキョゲンもきっとそうだろう。