不器用な贈りもの (ページ7)

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『道下せんせっ♪』

思考の沼へ落ちていれば、噂の中心であったキョゲンから声をかけられる。

その声色が普段のキョゲンからは滅多に発せられることのないもので、同時に悪感が背に走り思わず怪訝な顔つきでキョゲンを凝視してしまった。

「…なんだ？」

ぼそりと発した俺の声はキョゲンの耳に届いたか…否か…

『おいおい、名前呼んだだけだろ、がはははっ！』

…ぁあそうだな、キョゲンはこんな奴だ。少し周りとは一線を画っしているがこれが普段のキョゲンであって、頭にくる言動だってキョゲンの一部に過ぎないのだ。

反対に普段の俺というものを少し、忘れがちであったがキョゲンのおかげで自然と普段通りに対応する事を忘れない。

ところで、こいつは俺に何の用があるのやら。

『いやなぁ、道下せんせいが気色の悪い笑顔を浮かんでたもんで、思わず、ってな。』

何が思わずだよ。それに俺は玲奈とのやりとりが微笑ましくなって笑顔を浮かべていただけで、そんな顔はしてるはずがないって。

…いや、自信が無くなってきたぞ。客観的に見ればヤバかったのかもしれんしな。

ま、まぁそこはもういい。俺の用は玲奈からのメールだ。先から無駄な思考へと脳を働かせ過ぎてメールに目が行き届いてないのだ。

玲奈に送ってから数分単位しか経っていないが…まぁどうだ、見てみるか。