舞桜

8鼓動 ページ8

(ab)


『8月の夏祭り2人で一緒に行きましょう！』


、、、え？



「モノとかじゃないの？」

『誰がそんなこと言ったんすか？笑』


ご褒美が予想とは違いすぎて動揺している俺を見てクスクス笑う目黒


「いや、、、もっと行く人いるんじゃないの？」

『阿部くんと行きたいんです』


俺と行きたいって何？
屋台でいっぱい買わせたいのか？



悶々と考えながらも俺は平然を装い

「んーわかった、でもまだ4月だからまた直前になったら予定立てよ」

『よっっしゃ！あ、阿部くん2人で！ですからね誰か誘ったりしないでください！』


お祭りなら佐久間や照も誘おうかな思ってた俺の心情を見透かされているかのようなタイミングで釘を刺す目黒


静まれ俺の心臓
目黒にはきっと深い意味はない


「うん、わかったよ」

『じゃあ阿部くん指切り！』


そう言って小指を俺の目の前に立てる目黒




小指が触れ合った瞬間俺の鼓動が自分でも驚くほどはやくなった


目黒に鼓動の高鳴りがバレてしまわないようにと思った俺は咄嗟に


「な、なんで指切りって小指でするか知ってるー？昔の人がねー、、、

と、くだらない事を言ってる途中で目黒に遮られた

『うーん、小指だけだと不安っすよね、、じゃあ、、、指全部？』


そう言って目黒はぎゅっと指を絡ませ俺の手を優しく握った



落ち着け俺の心臓


吸い込まれそうな程に見つめてくる眼差しから何とか目を逸らし


「ははっ！めっ、めぐろさすがだね！これ女の子めちゃくちゃ喜ぶだろうねー！」


味わった事のない嬉しさや恥ずかしさや驚きが重なり思わず吃ってしまった


『じゃあ阿部くんは？』

「え、、、？」

『阿部くんは喜んでくれないの？』








「そんなこと、、、ないけど、、、」



その瞬間引き寄せられ目黒に抱きしめられた




『よかった』


そういうとこちらを見つめニコッと微笑み

『夏祭り調べときますね』

と耳元で囁き目黒は離れていった






おはようございまーす

続々とメンバー達が入ってくる
　


少女漫画のワンシーンの様な体験をした俺は思わずその場に座り込んだ


熱くなった両頬を手で覆う

今のは何？

静まれ心臓、落ち着け俺



ねぇ？目黒
一体どういうこと？
どれだけ頭の中の引き出しを探してもその答えは見つかりそうになくて
目黒には深い意味は無いんだと何度も心の中で自分に言い聞かせる







目黒の事もっと知りたい、、、




勉強は得意だと思っていた俺に難題がやってきた、、、

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