Blues (ページ49)

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宮「って、こんな話じゃなくて」

宮近さんは煙草を私に返すと姿勢を正した。

宮「俺、Aちゃんに話があって」

やけに堅苦しい雰囲気に思わず息が詰まる。

「宮近さん、？」

宮「聞いてくれる？」

「、はい。」

宮「俺ね。...アイドルなの」

宮「って、急に言われても驚くよね笑」

「あ、いや」

何となく思ってた。

アイドルとは考えてなかったけど、芸能人なのかなって。綺麗な顔立ちしてるしいつも会うのは平日だし、基本マスクしてるし、

「そうじゃないかなとは、思ってました笑」

宮「あ、ほんと？」

「えっと、ジャニーズ、だったりします？」

宮「あー、うん、そう笑」

「ですよね笑」

こんなにかっこいいし、

生憎私はそっちの方に疎いから全然気が付かなかったけれど、それが逆に何だか申し訳なくなった。

宮「隠しててごめんね。でも、Aちゃんにはちゃんと言っておきたくて」

「いえ、...ありがとうございます」

私も何を言えばいいのか分からなくて
少し重たい沈黙が二人の間に流れた。

宮「ごめんね、もう行こっか」

「あ、はい。」

駅まで少しの道のりの筈なのに二人の歩くペースは
遅くて何だか胸がわさわさとする。

何か話さなくちゃと開いた口

「あの、えっと、」

宮「Travis Japan」

「、え？」

宮「俺のグループ」

「...調べてみます」

「ごめんなさい、私そういうの結構疎くて、」

宮「あー、全然、！てか恥ずかしいからあんま見なくてもいいけど笑」

「、わかりました笑」

宮「じゃ、また。カフェ行くね」

「待ってます、」

宮近さんにいつもよりも小さく手を振って私も帰路についた。

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アイドル、って

私とは住む世界が違うって

到底出会うことの無い人たちだと思ってた。

意外とすぐ近くにいるんだな

なんて呑気な感想

何となく開いたGoogle

『Travis Japan』

そう検索しなければ、

これからの私の運命も変わってたのかな。

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