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お互いに目の前のコップを見つめていて
特にこれと言った話題が出てくるわけでもなく
少しの沈黙が流れた。
元「あの、Aちゃんは海斗のことどう思ってるんですか？」
二人が付き合ってないのは知ってます
なんて付け加えた松田くん。
「、どうって...猫みたいな。」
元「猫？」
「前に海斗が言ってたんです。私と海斗ってどういう関係なんだろうねって聞いたら猫と飼い主でいいんじゃない？って」
元「猫と飼い主、」
「海斗って、ほんとに掴めないんですよ」
「思わせぶりなことばっかりで、こっちばっかり
その気になって、ほんとにずるいですよね」
元「Aちゃんは海斗のこと好きなんですね」
「、わかんないです。もう」
目頭が熱くなった。
元「俺から言うのは、違う気もするんですけど」
元「あいつ今居酒屋でバイトしてるんすよ」
「、そうなんですか」
元「あとファミレスと」
「え、」
元「毎日働き詰めでギターだってもう何ヶ月も触ってるとこ見てないし」
元「それだけじゃなくて、就職先も探し始めてるみたいです。」
「、なんで」
元「海斗ちゃんとした人になるって言ってました」
「ちゃんとした人、」
元「そしたら、」
そこまで言って口をつぐんでしまった松田くん
元「やっぱり、辞めておきます。ここから先は
海斗から言った方がいいと思うんで」
なんて松田くんは荷物を片手に立ち上がった
元「色々とすいません。海斗のことよろしくお願いします、もうすぐ起きると思うんで、」
元「...起きたらちゃんと話聞いてやってください。」
それじゃ、と松田くんは扉を開けて出て行った。
去り際に香った匂いは
海斗と同じバニラの香りがした。
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作者名：もふ子
| 作成日時：2021年1月11日 23時
