猫 (ページ12)

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今日の私はいつもの数倍はテンションが高い。

私の提案した企画が通ったからだ

今日はいい酒が飲めそうだと、
最近良く買うビールをカゴに入れながら
おつまみをいくつか選んで列に並ぶ

今日海斗来るかな、

そんな淡い期待を胸に列を抜け出して
海斗の好きなビールを2本カゴに入れて
もう一回列に並び直した。

「飼い主と猫か、」

一昨日、海斗が言っていた。

あながち猫って表現も合ってなくはない

急に懐いてきたり急にいなくなったり、

忠実な犬はこんなことしないもんね

「ただいまー、」

誰もいない部屋に声をかける

スーツを脱いでゆるゆるの部屋着に着替える

昔の私ならふわっふわのパジャマとか着ていたんだろうけど、今じゃ来るかわからない男のためだけに
かわいいパジャマを着るほど可愛げのある女じゃない

お風呂からあがり、ビールを片手に夕飯を食べる

気分が良い今日はお皿も直ぐに洗ったし洗濯機も回したしもう寝る準備は万端だった。

" ピンポーン "

こんな時間に、なんて時計を見ながら玄関まで歩き
窓を覗くと赤い髪の男の子が立っていた

「海斗、？」

倉「Aちゃん来たよ」

「来たよって呼んでないけど、笑」

倉「寒いから早く中入れて？」

どうぞと、扉を大きく開けて海斗を先に通す

倉「Aちゃん珍しいねこんな飲んでんの」

「ちょっと嬉しいことあったから」

倉「そうなの、？じゃあ俺も飲もーっと」

私の冷蔵庫を勝手に開けてさっき海斗用にと買った
ビールを平然とした顔で飲む

倉「乾杯」

なんてふわふわと微笑む顔と
たまに意地悪そうに笑う顔との
ギャップに私はいつもやられるんだ。